一倍体細胞の小胞体ストレス脆弱性に関する論文がJ Biol Chem誌に受理されました。
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- 2024年10月20日
一倍体細胞が抱える小胞体ストレス脆弱性に関する研究がJournal of Biological Chemistryにオンライン掲載されました(in press)。哺乳類体細胞はゲノムを1セットしかもたない「一倍体状態」では増殖性低下の問題を抱えます。我々はこの現象が起こる原理を調べることで「なぜ動物細胞システムが二倍体でないと、正常に機能できないのか」という根本的な問いを理解するためのヒントを得られるのではと考えました。本研究で、ヒト一倍体細胞が、それと全くおなじ遺伝情報をもつ二倍体に比べて顕著な小胞体ストレスへの脆弱性を示し、軽微なストレスに対してより甚大な増殖障害を起こすことを見出しました。重要なことに、一倍体状態では通常培養時においても、タンパク質のフォールディング過程に問題を抱えており、この機能を補填することで一倍体細胞の増殖安定性が改善することが分かりました。これらの結果は、タンパク質品質管理機構の倍数性変化と連動した変調が、ヒト細胞の一倍体不寛容性の一要因であることを示唆し、細胞システムの根本的な要請の一端を明らかにすることができました。リンクはこちら。
本研究は助教の石原さん、元博士課程の矢口くん(現UT Southwestern Medical Center研究員)、修士課程の三浦くんが中心となり実施しました。また、本研究は2017年からハンガリーSemmelweis大学のEva Margittai博士と故Gabor Banhegyi博士との共同体制で立案し、ハンガリーチームに何度も来日していただき実験指導してもらいながら完成に漕ぎ着けました。