Date: 2017.12.22
理化学研究所・菊地淳先生を講師にお招きし、以下のセミナーを開催いたしました。
日時:2017年12月22日(金)13:00-14:30
場所:北大・理学部 5号館 大講堂
タイトル:「NMRデータサイエンス ―IoT/ビッグデータ/AI時代の情報活用戦略―」
講師:菊地 淳先生 (理研・環境資源、名大院・生命農、横市院生命医)
講演内容:
NMR(核磁気共鳴)法は高磁場装置や多次元パルス系列の開発によって、タンパク質のような複雑なシグナルからも構造・物性情報を得ることが出来るようになった。こうした研究では1つの精製試料から得られる多数のシグナル情報、つまり各シグナルに埋もれるパラメーター情報(化学シフト/スピン結合/緩和等から構造・物性情報)の利活用戦略がポイントであった。
一方で生物試料/食品/土/水等の未精製試料をNMR計測すると、やはり混合物試料から構成成分比に応じた多数のシグナル組成比の情報が得られる。こうした研究では計測する試料数nを多検体にすることで、試料間の統計的な組成比変動の情報が得られる。
NMR法は試料調製が容易であり、かつ既に設備投資されている機関であれば安価に多検体計測が可能である。また再現性の高さや機関間互換性から試料数nの方向性にビッグデータを蓄積する研究戦略、例えばAI関連計算の援用に向いている。さらに、もし試料数n方向に他の分析情報、例えば同じ試料の微生物叢等の数値情報も取得しておけば、様々なデータサイエンスを活用した解析戦略を組むことが出来る。
本講演では、演者らの農林水産物やヒト試料に対するデータサイエンス活用の実例を紹介したい。