Date: 2016.06.01
ジャガイモ由来の抗菌ペプチドであるsnakinをメタノール資化酵Pichia pastorisを宿主とした発現系を用いて大量生産する技術に関する論文がProtein Expression and Purification誌に掲載されました。
抗菌ペプチドは毒性や分解が問題となり、一般に微生物を用いた遺伝子組換えによる大量生産が困難とされています。また、植物由来の抗菌ペプチドであるsnakinは、ジスルフィド結合という結合が分子の中に多く含まれるため、化学合成による合成も困難で、大腸菌を用いた組換え体の生産でも巻き戻しと言われる操作が必要で、この条件検討も困難で時間のかかるステップでした。本研究では、真核生物である酵母P. pastorisを遺伝子組換えペプチド生産の宿主とすることで、人工的な巻き戻しの操作なしで、天然と同じ立体構造を有したsnakinをきわめて高い効率で得ることに成功しました。
今後、得られた植物由来の抗菌ペプチドを利用して、作用メカニズムの解明が進むことで、農産物の対病原性に関する研究や新規の抗菌物質の開発につながるなどの応用も期待されます。
Expression, purification and characterization of the recombinant cysteine-rich antimicrobial peptide snakin-1 in Pichia pastoris.
Kuddus MR, Rumi F, Tsutsumi M, Takahashi R, Yamano M, Kamiya M, Kikukawa T, Demura M, Aizawa T.Protein Expr Purif. 122, 15-22 (2016)