Date: 2016.02.01
シルクを構成する主要タンパク質であるフィブロインH鎖遺伝子の転写を制御するタンパク質FMBP-1に関する、博士課程の堤元佐君を中心とした我々の論文がFEBS Open Bio誌に掲載され、表紙を飾りました。
記念として、表紙のポスターが出版社から送付されました。
カイコが生産するシルク(絹)はフィブロインと呼ばれるタンパク質が主成分であり、1匹のカイコが吐糸する繭糸の長さは平均で1500mにもなることから、タンパク質工場としても注目されています。我々のグループは、このフィブロインの生産を制御する転写制御因子FMBP-1に注目し、フィブロインを合成する器官である繭糸腺内でのDNAとの相互作用を蛍光相関分光法(FCS)と呼ばれる手法を用いて解析しました。その結果、世界で初めて、FCSを用いて繭糸腺中で転写制御因子がDNAと結合して転写制御を行う様子を明らかにすることに成功しました。
今後、フィブロイン遺伝子の転写制御の仕組みが詳細に明らかになることによって、カイコを利用したタンパク質工場での生産制御などにもつながることが期待されます。
この研究は、我々のグループと北海道大学大学院先端生命科学研究院・金城研究室、出村研究室、大学院理学研究院・滝谷研究室との共同研究で進めた成果です。
In vivo fluorescence correlation spectroscopy analyses of FMBP-1, a silkworm transcription factor.
Tsutsumi M, Muto H, Myoba S, Kimoto M, Kitamura A, Kamiya M, Kikukawa T, Takiya S, Demura M, Kawano K, Kinjo M, Aizawa T.
FEBS Open Bio. 6:106-25. (2016) doi: 10.1002/2211-5463.12026.
PMID: 27239433