研究概要
数理生物学とは、生物学に数理科学的手法やデータ解析を応用して、実験や観察データのみではわからない現象の理解を目指す分野です。本研究室では、生命現象の数理モデリングやデータ解析手法の開発・応用を中心に、分野横断・学際的な研究を進めています。具体的なテーマとして、(i) 腸内や土壌など様々な環境に存在する微生物叢の生態系を数理的に理解・制御することで発症予防や作物作成の改善につなげる研究、(ii) 医療データ解析、(iii) トランスクリプトームなど網羅的遺伝子配列データに関わるバイオインフォマティクス研究、(iv) 生命現象の解析に役立つ汎用的な数理科学手法を開発・深化させる純理論的研究等を展開することで、基礎・応用両面で学際研究を推進していきます。
微生物社会を中心に社会動態を数理モデルによって構成的に理解する研究
細胞や微生物社会は細菌・ウイルス等、構成要素間の複雑な相互作用によってダイナミックに変化している。マクロなスケールでの動態形成に重要と考えられるミクロの相互作用ルールを数理モデル上で表現することで、微生物社会の動的変化が生み出される仕組みを構成的に理解することを目指している。現在、腸内細菌叢の多様性減少と疾患発症に関わる重要な相互作用ルールの役割について、理論的に理解する研究を進めている。
微生物社会を中心にデータ解析によって社会形成の仕組みを読み解く研究
微生物社会のダイナミックな変化を駆動する実体を把握するためには、データを通じて微生物社会の分析を行う必要がある。データ科学手法を応用することで、微生物社会の形成に重要と考えられるミクロの因子や相互作用ルールの特定を目指している。現在、環境中に存在するメタゲノムデータの解析を行うことで、腸内細菌叢の多様性減少を伴う変化と疾患発症に関わる重要な相互作用ルールの特定を主な目標としている。