マクロファージ遊走阻止因子(MIF) と D-dopachrome tautmerase (DDT) 生体は体内に入り込んだ外界からの異物(例えば病原菌など)を取り除き自分を守る 為のシステムを有しています。マクロファージは体内を移動(遊走)し、異物を発見 するとそれを食べて分解する働きを持つ細胞です。MIFは異物を認識したT細胞から分 泌され、その名の示すとおり遊走してきたマクロファージをその場に留まらせる活性 を示します。これにより異物の周りにマクロファージが集まり、異物の速やかな除去 が促進されるのです。MIFにはこの他にも様々な働きがあることが調べられており、免 疫系の調節因子として注目されています。DDTは、その生体内での生理活性については 良く解っていませんが、MIFと類似したアミノ酸配列を持つことから、MIF同様の機能 があるのではないかと考えられているタンパク質です。 MRP8 と MRP14 マクロファージ同様に異物を取り込んで分解する働きを持つ好中球(白血球の一種) や、単球(マクロファージの前身)等において発現が見られるタンパク質です。リ ューマチや移植拒絶反応など様々な炎症症状を呈した組織血清中において、これらタ ンパク質の濃度が上昇することが知られており、「炎症」の調節に重要な役割を果た すと考えられているタンパク質です。これら2つのタンパク質の関わる詳細な分子機 構は未だ明らかにはされていませんが、炎症組織内血管内皮細胞表面への好中球の接 着にMRP14が関与していることが明らかになるなど、その機能の重要性については以前 にも増して注目を集めているタンパク質です。 |