試料調整についてのお願い
- 当研究室では直径5mmの試料管のみが利用できます。
- 試料には必ずラベル等をつけてください。(依頼者氏名・2検体以上の場合は試料の識別ができるように)
なお横に大きくせり出しているラベルタグ(下の写真の左及び中央)はオートサンプルチェンジャーで取り扱うことができません。
測定時に取り外す必要がありますので強固な取り付けは避けて下さい。
写真右の赤いキャップについているラベルは取り外し不要で測定可能です。
写真中央の緑のキャップ及び写真左の白のキャップについているラベルは、測定の際には取り外しが必要ですが、白のキャップのようなラベルは取り外しが簡単です。
(ちなみに赤及び緑のキャップがPEキャップ、白のキャップがテフロンキャップです)
- 溶媒は重水素化溶媒を最低5%以上の含むよう試料調整をお願いします。
重水素ロック(静磁場の時間的変動を補正する機構)に必要となります。
- 揮発性の高い溶媒を使用する場合には、試料管のキャップとガラス管の境界部分にパラフィルムを巻くことをお勧めします。
重クロロホルムなどのハロゲン溶媒を使用する際には、試料管付属のポリエチレン(PE)製キャップではなくテフロン(PTFE)キャップをご使用下さい(上の写真の左・白のキャップ)。
PEキャップは測定及び保管の間に溶媒の蒸気によって侵され、その結果溶媒が揮発します。
- 液高は4cm(液量で約0.55ml)前後になるようにお願いします。
液高が3cm以下の場合、良好な分解能を得ることが難しくなる可能性があります。液量が少ない場合には、【対称形ミクロサンプルチューブ(シゲミセル)】の利用をお勧めします。
- 安定性の低い化合物など慎重な取り扱いが必要な試料を持参される場合には、事前にその旨をお伝え下さい。
対称形ミクロサンプルチューブ(シゲミセル)について
- シゲミセルは外管と内管から構成される二重管です。
用いる溶媒に合わせて適切な種類のチューブを選択することで、少ない溶液量においても磁場の不均一性に起因する分解能の悪化を軽減し、またラジオ波磁場の不均一性の影響を抑制します。
詳細は株式会社シゲミの公式Webサイトの「対称形ミクロサンプルチューブ」に関する記事を参照して下さい。
シゲミ製NMR試料管
- 異なる磁化率を持つ4種類(B/C/D/M(型式名の先頭))のチューブがありますので、使用する溶媒に適合するものを選んで下さい。
また外管の磁化率調整ガラス部については厚さの異なる3種類(B/J/V(型式名の末尾))がありますが、こちらの装置では全て使用可能です。
- 内管を挿入した後は気泡を除去(脱気)して下さい。(作業方法は株式会社シゲミWebサイトをご参照ください)
また脱気済みの試料であっても冷蔵保存などによって測定時に気泡が発生することがあります。脱気作業には、内管と外管を固定しているパラフィルムを除去する必要があります。
パラフィルムの巻きすぎや過度に強固な巻き付けは、取り外す際に外管の破損に繋がる恐れがありますので避けて下さい。
依頼測定の申込方法
以下の申請フォームから必要事項を入力するか、または同等の情報をEメールで連絡して下さい。
- 測定申込者に関する情報
氏名、電話番号、Eメールアドレス、所属研究室
- 支払い財源に関する情報
支払責任者、所管コード、所管名、目的(研究経費・教育経費)、プロジェクトコード(外部資金の場合)
※支払い財源については手続きを行う前に利用金額の通知と確認のためのEメールを送信します。
事前に登録した情報と異なる財源からの支出を希望する場合には、必ず新たな財源情報をお知らせ下さい。返信が確認できない場合には事前登録された財源から支出されます。
流用手続きは10月初旬(4月から9月までの利用分)、2月初旬(10月から1月の利用分)となります。2月・3月分は支払い財源は一般運営財源のみ可能です。(手続きは翌年度になります)
- 試料に関する情報
化合物について(組成式、分子量、純度、濃度、安定性)、溶媒(種類及び重水素化率)
- 測定に関する情報
観測核種、測定手法、パラメータに関する希望、測定温度
依頼測定 申込フォーム
※試料はエレベータ前の冷蔵庫に入れて頂くか、直接担当職員にお渡し下さい。
データのフォーマットについて
NMRデータ処理専用ソフトウェアでのみ取り扱い可能なバイナリデータ
Delta、TopSpinなどの専用ソフトウェアが必要になります。これらのソフトウェアで未処理のFID(時間領域のデータ)に対して処理に関するパラメータを目的に合わせて最適化したり、処理済みのスペクトルに対して定量や帰属などの解析に有用な機能を利用することが可能です。
▶Delta
本施設のJEOL製NMR装置における標準ソフトウェアで、オリジナルデータはこちらの形式になります。FID、スペクトルのどちらのファイルもも拡張子は"jdf"となり、
これらはバージョン番号(ファイル名における".jdf"の直前にある数値)で区別されます。当ソフトウェアは無料で利用可能です。(要登録)
詳細は以下のWebサイトを参照して下さい。
JEOL Delta 公式Webサイト
▶TopSpin
Brukerが提供するソフトウェアで、Delta形式(.jdf)のFIDをインポートし、自身でスペクトルに変換することが可能です。
希望に応じてこちらでTopSpinで変換したスペクトルデータを提供することも可能です(スペクトルデータ"1r"(1Dの場合)や"2rr"(2Dの場合)を含んだフォルダ)。
本学を含む学術研究機関に所属する方はアカデミック版を無料で利用できます(登録が必要)。
詳細は以下のWebサイトを参照して下さい。
Bruker TopSpin 公式Webサイト
その他のフォーマット
▶CSVデータ(ASCII形式)
Excel等の汎用データ解析ソフトウェアで取り扱い可能なフォーマットです。ただしFIDを汎用ソフトウェアで適切に変換することは極めて困難です。スペクトルについてのみこの形式の利用を推奨します。
▶スペクトルの印刷イメージ(画像)ファイル
*希望に応じて他のフォーマットも検討可能です。
データの提供方法について
- オンラインストレージ
ELMSポータルの「ファイル宅配」など。ダウンロードリンクをEメールで送付します。
- メール添付
1Dデータやが印刷イメージなどファイルサイズが小さいものに限られます。
- 記録メディア
USBメモリ等を持参または送付して頂きます。
*希望に応じて他のお渡し方法も検討可能です。