研究紹介

低温適応物質および機能性核酸を用いた新技術の創成

私たちの研究室では、生体分子を効果的に活用するための有用技術の開発を目指した研究を行っています。そのために、未知未利用生物資源の探索とそれらの生化学的性質の解明、遺伝子発現を効果的に調節可能な機能性核酸の創出と核酸医薬やの応用、および産業用タンパク質の3次元分子構造解析と高機能化を行っています。これらの機能性分子の遺伝子、タンパク質、細胞レベルでの知見を結合して生命材料の構築原理を解明することで、独自の新しいバイオテクノロジーを創成することを目指しています。現在は、不凍タンパク質の機能解析と応用技術の開発と、機能性核酸の創出と核酸医薬への応用技術の開発に力を入れています。

◎不凍タンパク質の探索と機能解析、応用技術の開発(指導担当教員:近藤)
不凍タンパク質(Antifreeze Protein: AFP)は、氷の結晶に強く結合する機能(氷結晶結合機能)を有する物質です。また、AFPは細胞膜にも結合して細胞を保護する機能を発揮します。私たちは、身近な環境に生息している魚類、菌類や昆虫がAFPを有することを見出しました。現在は、AFPの機能と構造の解明に取り組むとともに、AFPの利用技術の開発を進めています。

 

◎機能性核酸を利用したmiRNA制御分子の開発(指導担当教員:小松・平野)
小分子の(20-24塩基)の1本鎖RNAであるマイクロRNA(miRNA)は、mRNAの翻訳を制御することで分化・増殖などの基本的な生命現象を調節しています。miRNAに相補的なアンチセンス核酸(AMO)は、miRNAと相互作用して活性を制御することから、医薬品など幅広い展開が期待できます。私たちは、標的miRNAに高い親和性を有し、細胞内においても安定に作用する新規なmiRNA制御分子の研究開発を進めています。