PLP結合酵素

PLP酵素は、ビタミンB6酵素とも呼ばれ,生体内でのアミノ酸代謝に関わる多種多様な反応を触媒する.PLPは活性部位のLys残基と結合しており,そこに基質がくると、PLPと基質の間に結合が形成される。その後の反応は,基質のCα周りの3つの結合のうち,どれが切断されるかによって決定される.これらの反応はPLP関与の全ての酵素に共通する.1966年、Dunathanは,このとき切断される結合は,PLPのピリジン環に対して垂直な方向の結合であるとする仮説を提出している.すなわち、PLP酵素の反応性は活性部位周辺の立体構造に決定されると言い換えることができる.この仮説を完全に証明するために数々の実験が行われておるが,立体構造解析は最も優れた手段の一つである.


ACCデアミネース(ACCD)

ACC(1-アミノシクロプロパン-1-カルボキシレート)デアミネースは,環状アミノ酸ACCを脱アミノ化し,α-ケト酪酸とアンモニアに分解する酵素で,ピリドキサール5'リン酸(PLP)を補酵素とするPLP酵素の一つであ.PLP酵素による脱アミノ化反応の場合,アミノ酸のCα-α水素間の結合が切断されることから脱アミノ化反応が進行する.しかし,ACCデアミネースによって脱アミノ化されるACCは,他のアミノ酸と異なり、環状構造を形成しているため,α水素をもたない.つまり、ACCデアミネースによって触媒される脱アミノ化反応は,他のPLP酵素による脱アミノ化とは異なる機構で進行していると考えられる.したがって,我々はACCデアミネースの立体構造から,反応機構を解明することによって,Dunathanの仮説を証明することができると考えている.

現在以下の研究が行われている.
酵母由来ACC デアミネースの構造解析
・酵母由来ACCデアミネースの変異体の構造解析
・ACCデアミネース類似タンパク質の構造解析