病原菌の構造生物科学

黄色ブドウ球菌の疾患関連蛋白質の構造・機能解析

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

黄色ブドウ球菌はヒトをはじめとした哺乳類に常在する細菌であるが,疾病により免疫機能の低下した患者や乳幼児,老人に感染した場合は,各種の毒素,免疫撹乱物質などを産生し, 敗血症や肺炎,黄色ブドウ球菌毒素ショック症候群などの重篤な疾患を引き起こす.さらに,黄色ブドウ球菌は種々の抗生物質に対する耐性を容易に獲得するという劣悪な性質があり, 院内感染の原因菌として大きな社会問題となっている.このような背景から,黄色ブドウ球菌に対する創薬研究の社会的意義は深く,かつ急務であるが, 有用な薬剤の獲得には至っていないのが現状である.本研究室では,下記のような創薬ターゲットとなりえる重要蛋白質の構造・機能解析を通し,創薬に有用な情報を提供することを目指している. 生化学実験およびゲノム解析により,病原性への関与が明らかになった重要蛋白質に焦点を絞り,その構造機能解析を行う.

  1. 薬剤耐性蛋白質
  2. 接着因子蛋白質
  3. 毒素関連蛋白質