支部主催の講演会


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2022年
#22-03

「ラマン光学活性分光を用いてタンパク質の活性部位を“視る”」


日時:2022年11月2日(水)16:30~18:00
場所:北海道大学理学部2号館5-205室
    講師:海野 雅司 先生
   佐賀大学理工学部理工学科 教授


要旨:
光学活性を用いた解析は蛋白質のような非対称な反応場の詳細な構造情報を与えるため、他の手段では得られない構造情報が得られる一方、これまで紫外可視光領域の光学活性を反映する円二色性偏光が主な解析手法であり、蛋白質の二次構造など比較的大きな蛋白質構造の解析に応用されてきた。 より詳細なアミノ酸残基レベルの構造変化については、電子遷移ではなく振動遷移を元にした光学活性の検出が必要であるが、代表的な赤外振動では蛋白質が水溶液中の試料であることから溶媒の水の吸収の除去が困難で十分な情報が得られない場合が多い。 このような水溶液中での振動スペクトルの測定にはラマン分光が有効であるが、その方法論はまだ確立途上である。 本講演では独自に開発したラマン光学活性分光システムを用いた蛋白質の活性部位の構造解析を紹介する。

問合せ先:北海道大学 理学研究院化学部門 石森 浩一郎
内線 2707

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「配向秩序化を介した組織パターンの創発」


日時:2022年10月17日(月)11:00~12:00
場所:北海道大学理学部2号館2-507室 & Zoom URL
   ※Zoom 詳細は資料に記載
講師:市川 尚文 先生
   京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi) 特定助教


要旨:
生物の発生は自律的に秩序、すなわち空間パターンを獲得する過程である。 哺乳類の初期発生において、胚本体であるエピブラスト細胞は、無作為に寄り集まった細胞塊から、内腔を中心とする上皮構造を形成する。これは将来のからだ作りの基盤であるが、この時期の胚の観察が困難なために、その理解は遅れている。 私たちは、この胚発生を母体外で再現する三次元培養と光シート顕微鏡を用いたライブイメージングを開発し、エピブラスト細胞のダイナミクスを明らかにしてきた。さらに、液晶物理学の理論を取り入れ、遺伝学的手法を用いた理論の検証を行うことで、細胞の極性化と配向の秩序化が、エピブラストパターンの鍵であるというモデルを提唱している。 本研究を切り口として、組織パターン創発の本質的な理解を目指している。

問合せ先:北海道大学大学院先端生命科学研究院 石原 誠一郎
E-mail:sishihara[@]sci.hokudai.ac.jp

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#22-01

「Cyanobacteriochromes: Introduction of unique photoreceptors and prospects for application」


日時:2022年9月1日(木)10:00~11:00
場所:オンライン(演者はシオノギ棟一階大ホールから配信)
   ※Zoom Webinar詳細は資料に記載
講師:鈴木 貴久 先生
   東京都立大大学院理学研究科 成川研究室 助教


要旨:
The cyanobacteriochromes (CBCRs) are cyanobacteria-specific photoreceptors binding linear tetrapyrrole, which is distantly related to the plant phytochrome photoreceptors showing red/far-red reversible photoconversion. The chromophore binding region of the CBCRs consists of only a cGMP-phosphodiesterase/adenylate cyclase/FhlA (GAF) domain, while that of the phytochromes consists of three domains (PAS-GAF-PHY). Furthermore, in the case of the CBCRs, the spectral properties are highly diversified to sense wide range wavelengths covering UV and visible light regions. Most CBCRs, however, have a drawback to bind phycocyanobilin (PCB) that is not endogenously present in the mammalian cells. So, we have developed engineered CBCRs binding biliverdin (BV) as a chromophore that is endogenously present in the mammalian cells. These BV-binding molecules opened the door for application of CBCRs to fluorescent imaging and optogenetic regulation. In this talk, I will summarize the spectral properties of the various CBCRs and introduce the current project to modify the BV-binding CBCRs by site-directed saturation mutagenesis.

問合せ先:北海道大学大学院先端生命科学研究院 北村 朗
E-mail: akita[at]sci.hokudai.ac.jp

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2020年
#20-03

「ロドプシンの特殊性から学ぶ生物の巧みな光利用法」


日時:2020年9月28日(月)15:00~16:00
場所:Zoomを使ったオンラインセミナー
講師:小島 慧一 先生
   岡山大学医歯薬学総合研究科 (薬学系) 助教
申込:下記Google Formにて事前にお申込みください。
   https://forms.gle/SkmHiUSmEQSUG5c78

要旨:
私たち生物は光を感じ・利用することで日々生活している。例えば、私たちヒトは光を眼で見ることで外界の情報を取得し、 植物は光を利用して光合成を行っている。ロドプシン類は、ビタミンAの誘導体であるレチナールを発色団として持つ光受容膜タンパク質であり、 動物から微生物まで幅広い生物の光利用を支えている。ゲノム科学の発展により、現在まで10万を超えるロドプシン遺伝子が見つかっており、 種々のロドプシンは、それを持つ生物種や生息環境、担う生理機能に合わせて、性質を特殊化(=多様化)させていることが明らかとなってきた。 また近年、ロドプシンは、光で動物の神経活動を操作する技術(オプトジェネティクス)を支える基盤分子としても利用されている。 演者は、学部生(2010年)のときからロドプシンの分子解析を通じて、『なぜ生物は光を巧みに利用できるのか』を明らかにしたいと思い、研究を行ってきた。 その中で、動物はロドプシン類の分子特性を特殊化することで、高度な視覚機能を獲得してきたことを明らかにした。さらに、特殊化した分子特性を持つロドプシン分子を同定/創成することで、 新しい光操作技術の基盤確立に取り組んできた。本セミナーでは、これまでの成果を紹介するとともに、若手研究者である演者から見たロドプシン研究の歴史と展望についても議論したい。

問合せ先:北海道大学大学院先端生命科学研究院 塚本 卓
E-mail: t-tak@sci.hokudai.ac.jp

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#20-02

「メカノメディスン 基礎医学研究から臨床応用への展開のアップデート」


日時:2020年1月31日(金)17:30~19:00
場所:旭川医大・機器センター3Fカンファレンスルーム (アクセス)
講師:成瀬 恵治 先生
(岡山大学・大学院・医歯薬総合研究科)

要旨:
われわれの体は外界からだけではなく体内においても様々な力学的・機械的刺激 (メカニカルストレス)を受容し、応答することで正常な生理機能を維持している。 メカニカルストレスの受容応答機構は細胞分裂、発生過程、臓器機能発現など広範な時空間スケールにわたる生理機能の調節に寄与しており、メカニカルストレス 受容応答機構の破綻が様々な病態に関与していることを示唆するエビデンスが集積されてきた。 メカノセンサー分子→細胞→組織→臓器→個体レベルでの縦糸的研究 に各種臓器の疾患という横糸的研究を加えた布陣をとり、メカノバイオロジーを切口とした病態解明を基に、新規治療法を開発するメカノ医療(メカノメディスン) の確立を目指し、これまでに数々の新規研究方法や研究システムを開発し問題を解決してきた。本講演では メカノバイオロジーに関する基礎医学的研究、特に メカニカルストレス受容機構を概説し、その研究過程で派生した再生医療・生殖補助医療・高圧医療への展開を紹介する

問合せ先:旭川医科大学 生理学講座・自律機能分野 高井 章
Tel: 0166-68-2320 または 0166-68-2322
E-mail: physiology1@asahikawa-med.ac.jp

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#20-01

「ウイルス研究で新しいサイエンスを切り拓く」


【講師】 川口 寧 先生(東京大学・医科学研究所)


「インフルエンザウイルスの宿主への適応戦略」


【講師】 渡辺 登喜子 先生(東京大学・医科学研究所)


【日時、場所】
日時:2020年1月27日(月)16:00~17:30
場所:北海道大学薬学研究院 多目的講義室1

問合せ先:北海道大学薬学研究院 前仲 勝実
Tel: 011-706-3764

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2019年
#19-12

「こいつ…動くぞ!ねじる・ひっぱる・はうバクテリア」


日時:2019年10月30日(水)11:00~12:00
場所:北海道大学理学部2号館 2-408室
講師:中根 大介 先生
(学習院大学・理学部物理学科)

要旨:
多くのバクテリアは,べん毛という繊維構造を使って水中を自由自在に泳ぐことができる。一方,このような優雅な運動様式を持たずに動き回るものもたくさん存在する。 この不思議な生体運動は,多種多様なバクテリアから観察されており,たくさんの研究者を魅了してきたが,そのメカニズムの理解はべん毛のそれには遠く及んでいなかった。 ところが,この10-20 年の間に顕微鏡の可視化技術が発達することで,バクテリア個体やそこに含まれる運動装置の動きや構造を詳細に観察できるようになり,これらの運動メカニズム の理解は飛躍的に進展した。本研究では,「スパイダーマン」のように「糸」の伸縮による動きまわる仕組み,細胞体のらせん対掌性を変えながら高粘性の中を泳ぐ仕組み, 膜表面をキャタピラのように動かして這う仕組みなど,バクテリアという小さな生命体が独自に発達させた多様な生体運動様式について,我々が得た最新の知見について紹介する。

問合せ先:北海道大学大学院先端生命科学研究院 塚本 卓
Tel: 011-706-4475
E-mail: t-tak@sci.hokudai.ac.jp

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#19-11

「光受容膜タンパク質微生物型ロドプシンの新地平:ヘリオロドプシンの発見と展開」


日時:2019年10月29日(火)16:30~17:30
場所:北海道大学理学部2号館 5階 2-507室
講師:井上 圭一 先生
(東京大学・物性研究所)

要旨:
微生物型ロドプシンは真正細菌や古細菌、真核藻類、真菌類などの主に単細胞微生物のほか一部の巨大ウイルスまで広範に存在する、光受容型の膜タンパク質である。近年のゲノム解析技術の発展に伴い、 現在までに7000種類以上もの微生物型ロドプシンが同定されているが、それらは全て共通の発色団であるall-trans型レチナールを持ち、可視光の吸収によってこのレチナールが異性化することをトリガーとして 様々な生理機能を発現する。その機能は光駆動型のイオンポンプやチャネルのほか、走光性センサー、遺伝子発現制御、酵素反応など非常に多岐におよび、共通の7回膜貫通型構造と発色団から、どの様にしてこのよう に多様な機能の発現が可能になるのか、そのメカニズムに強い興味が持たれ、近年ではオプトジェネティクス(光遺伝学)において中心的な分子ツールとして用いられている。この中で、最近我々は機能性メタゲノム 解析により、イスラエルのガリラヤ湖から既知のロドプシンと膜内での配向が逆転したヘリオロドプシンを新たに発見した。その機能はいまだ明らかとなっていないが、この分子は微生物界全域に存在することから これまでにない光生物学的現象に関わっていると期待される。講演では最近発表したヘリオロドプシンの構造解析の結果と共に最近の我々の微生物型ロドプシン研究について紹介する。

問合せ先:北海道大学大学院先端生命科学研究院 菊川 峰志
Tel: 011-706-3435
E-mail: kikukawa@sci.hokudai.ac.jp

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#19-10

「Nonlinear Laser Scanning Microscopy (NLSM)」


日時:2019年9月12日(木)11:00~11:40
場所:北海道大学 北キャンパス シオノギ棟一階
講師:Aleksandar Krmpot 先生(Associate Professor)
(Institute of Physics, University of Belgrade, Belgrade, Serbia)

要旨:
Nonlinear laser scanning microscopy (NLSM) is advanced imaging technique particularly suitable for deep tissue and in vivo imaging. It utilizes ultra-short laser pulses (femto second pulses) in near infrared spectral region and due to nonlinearity the interaction with specimen material occurs only in the tiny focal volume which enables deep penetration. There are three modalities of NLSM: Two Photon Excitation Fluorescence ( TPEF), Second Harmonic Generation (SHG) and Third Harmonic Generation (THG) imaging. Each of them provide complementary and valuable information and is used for various types of imaging. TPEF is the most similar to the single photon excitation fluorescence in confocal microscopy, but it has much higher penetration depth and axial resolution. TPEF relays very often on auto fluorescence, that originates from NADH and FAD mostly, when vertebrate specimens are imaged or chitin in arthropods. SHG imaging reveals ordered structures such as collagen ( type I), myosin and starch with no need for labeling and with extremely high contrast. Also, it is the only optical technique that is used for quantification of degree of collagen molecules organization. THG is also used for unstained samples imaging providing information on steep changes of refractive index inside the specimen. With some limitations it is mostly used for in vivo imaging and real time tracking of some physiological processes, e.g. C. Elegance embryogenesis, physiological processes in zebra fish etc.

問合せ先:北海道大学大学院先端生命科学研究院 金城 政孝
E-mail: kinjo@sci.hokudai.ac.jp

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#19-09

「Study of developmental processes by Fluorescence Correlation Spectroscopy」


日時:2019年9月11日(水)11:00~11:40
場所:北海道大学 北キャンパス シオノギ棟一階
講師:Dimitrios K Papadopoulos 先生(Research Group Leader)
(Human Genetics Unit (HGU) Institute of Genetics and Molecular Medicine (IGMM) University of Edinburgh)

要旨:
During the development of multicellular organisms, cells and tissues need to be specified (commit themselves to a certain developmental programme) with very high precision, at the correct time and space. Certain genes encoding Transcription Factors bind the genome and regulate expression of genes, required for cell and tissue differentiation. To do this, these proteins need to interact with the chromosomal DNA, find specific sequences to which they can bind (called transcriptional enhancers), loop the chromatin, interact with other important transcriptional enzymes and allow gene transcription to proceed. The absolute amounts, stoichiometries of the protein complexes and dynamic behaviour of these regulatory molecules are very important, but they remain largely unknown. However, we know that when too much or too little amount of Transcription Factors is present in cells, this leads to developmental abnormalities and disease. This lecture will discuss various systems in which Fluorescence Correlation Spectroscopy allows to study the concentration, diffusion properties and chromatin binding behaviour of Transcription Factors and why this is so important for developmental biology, genetics and the study of human disease.

問合せ先:北海道大学大学院先端生命科学研究院 金城 政孝
E-mail: kinjo@sci.hokudai.ac.jp

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#19-08

「固体NMRによる微生物型ロドプシンの立体構造解析」


日時:2019年8月8日(木)16:30~17:30
場所:北海道大学理学部2号館 5階 2-5-07室
講師:川村 出 先生
(横浜国立大学 大学院工学研究科)

要旨:
微生物型ロドプシンはレチナールを発色団とする7回膜貫通型の膜タンパク質である。レチナールの光異性化反応をきっかけにして、タンパク質の構造変化を引き起こすことで機能を発現する。 固体NMR分光法はマジック角回転法や高出力デカップリング法により、固体状態におけるNMR信号の線幅の広がりの原因となる核スピン相互作用を除去し、高分解能NMRスペクトルを獲得できる。 そのため固体NMR測定において、測定試料状態に依存することが少なく、細胞膜中に存在するタンパク質の立体構造を調べることが可能である。 本発表では多次元固体NMRを用いた光駆動型ナトリウムイオンポンプロドプシンの研究成果を中心に発表する。

問合せ先:北海道大学先端生命科学研究院 相沢 智康
Tel: 011-706-3806
E-mail: aizawa@sci.hokudai.ac.jp

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#19-07

「シアノバクテリアの生物時計は高圧力下でどうなる?」


日時:2019年7月30日(火)16:30~17:30
場所:北海道大学理学部本館 3階 N308室
講師:北原 亮 先生
(立命館大学 薬学部)

要旨:
地球には深海など様々な圧力環境下に生物が生息しているにも関わらず、温度に比べ生物の圧力に対する応答は十分に理解されていない。生物が有する概日(約24時間)時計の圧力応答の研究例は我々の成果以外に皆無である。 概日時計はバクテリアからヒトまで多様な生物に存在し、自律したリズム発生、温度補償性、同調性という3つの共通した性質を有する。シアノバクテリアの概日時計は、KaiA, KaiB, KaiCの3つのタンパク質とATPからなり、 in vitroで再構築できる唯一の生物時計である。このKaiCのリン酸化/脱リン酸化周期が約24時間で振動するが、温度応答の研究から20℃~40℃の範囲では周期長がほとんど変化しないことがわかっている(温度補償性)。 我々は、加圧により周期長が大幅に短縮することを見出した。加圧により周期長が短縮する原因について、酵素反応や熱力学の観点から解説する。

問合せ先:北海道大学先端生命科学研究院 相沢 智康
Tel: 011-706-3806
E-mail: aizawa@sci.hokudai.ac.jp

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#19-06

「高感度Rheo-NMRによるタンパク質線維化のその場解析」


日時:2019年8月5日(月)16:00~17:00
場所:北海道大学理学部本館 3階 N308室
講師:菅瀬 謙治 先生
(京都大学)

要旨:
高齢化が深刻化する現代社会において、加齢に伴い発症率が高くなるアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患が大きな社会問題となっている。いずれの疾患でもタンパク質が異常に凝集した 封入体が脳内に確認されている。この凝集体は、タンパク質が重積したアミロイド線維と呼ばれる構造体で、疾患との関連性が強く示唆されている。アミロイド線維とそのタンパク質単体は良く研究されているが、 アミロイド線維化過程に関しては原子レベルの情報が不足している。そこで、私達は、NMR管内の試料に剪断流を発生させることのできるRheo-NMRを用いて、アミロイド線維が形成する「その場」を原子レベル で解析することを目指した。Rheo-NMRとは、元々、液晶、ポリマー、食品などの粘弾性を解析する目的で開発された装置であるが、既存のRheoNMRの仕様はタンパク質の解析には感度と分解能が不足する。そこで、 私達は、高感度クライオプローブと併用できる新しい方式のRheo-NMR装置を開発した(Fig 1)。この装置は、現存するRheo-NMR装置の中で最も高分解能かつ高感度のもので、剪断流に影響を受けた タンパク質の回転運動やタンパク質のアミロイド線維化過程をその場かつ原子レベルで解析できる。本セミナーでは、開発したRheo-NMR装置の仕組みとその特性およびアミロイド線維化機構の解析への応用について述べる。

問合せ先:北海道大学先端生命科学研究院 相沢 智康
E-mail: aizawa@sci.hokudai.ac.jp

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#19-05

「グルタミルアミド基転移酵素GatCABにおけるタンパク質分子内アンモニア輸送メカニズムの理論解析」


時間:2019年5月13日(月)16:00~
場所:北海道大学理学部5号館305号室
講師:舘野 賢 博士
(兵庫県立大学)

要旨:
多くの真正細菌は,グルタミニルtRNA合成酵素(GlnRS)を持たずに,グルタミルtRNA合成酵素(GluRS)がGlu-tRNAGln を合成した後,これをグルタミルアミド基転移酵素CAB(GatCAB)によりGln-tRNAGlnへと校正し変換する。 GatCABはGatA,GatB,GatCの3つのサブユニットから成り,GatAにおけるグルタミン加水分解反応によって生じたアンモニア分子が,酵素分子の内部を輸送されることにより,細胞毒性を回避すると共に,GatBの活性部位まで運ばれ,そこでアミド基転移反応の基質として用いられる。 アンモニア分子がGatCAB分子内を輸送される経路としては,主として親水性のアミノ酸残基から成る経路(チャネル1)と疎水性のアミノ酸残基から成る経路(チャネル2)とがこれまでに提案されている。本研究では,GatCAB酵素分子の内部における,これらのアンモニア輸送経路とそのメカニズムを, 高度なコンピュータ・シミュレーション技術によって,理論的かつ詳細に解析した。

問合せ先:北海道大学先端生命科学研究院 姚閔
E-mail: yao@castor.sci.hokudai.ac.jp

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#19-04

「立体構造解析を基盤とした植物ペプチドホルモンの同定と新規な結合様式の解明」


時間:2019年3月6日(水)16:30〜
場所:薬学研究院
   多目的講義室1
講師:奥田哲弘 博士
(University of Geneva)

要旨:
植物は独自の膜タンパク質受容体キナーゼを数多く保持し、様々な外界のシグナルを受容することで環境に適応しています。本発表では、根のカスパリー線形成に関わるSGN3受容体とCIFペプチドを例にとり、立体構造解析、生化学的解析、遺伝学を組み合わせることで、新たに見いだされた分子メカニズムについて紹介します。

問合せ先:北海道大学 薬学研究院 前仲勝実
E-mail: maenaka@pharm.hokudai.ac.jp

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#19-03

「高精度色収差補正ソフトウエア Chromagnonの開発と超分解能マルチカラーイメージングへの応用」


時間:平成31年3月1日(金) 16時~17時
場所:北海道大学北キャンパス
   シオノギ創薬イノベーションセンター1階・会議室1・2
講師:平野 泰弘 助教
(大阪大学 生命機能研究科 細胞核ダイナミクス研究室)

問合せ先:北村 朗・金城 政孝
Tel: 706-9006 E-mail: akita@sci.hokudai.ac.jp

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#19-02

「蛍光標識化糖脂質を用いた糖脂質の動態解析」


時間:平成31年3月1日(金) 15時~16時
場所:北海道大学北キャンパス
   シオノギ創薬イノベーションセンター1階・会議室1・2
講師:新井 健太 博士
(大阪大学大学院理学研究科化学専攻 天然物有機化学研究室)

問合せ先:北村 朗・金城 政孝
Tel: 706-9006 E-mail: akita@sci.hokudai.ac.jp

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#19-01

「メカノメディスン:基礎医学研究から不妊治療・再生医療への 展開のアップデート」


時間:2019年2月7日(木)17:30〜19:00
場所:旭川医科大学・機器センター3 階カンファレンスルーム
講師:成瀬恵治 教授
(岡山大学大学院 医歯薬総合研究科)

世話人:旭川医大・生理学講座・自律機能分野 高井章 教授

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2018年
#18-04

「Antimicrobial peptides, biosynthesis and altered chemistries」


時間:2018年8月6日(月)16:30〜17:30
場所:北海道大学 理学部本館3階 N308
講師:Professor Hans J. VOGEL
(Bio-NMR Centre and Metabolomics Research Centre University of Calgary, CANADA)

世話人:北海道大学大学院 先端生命科学研究院 相沢 准教授

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#18-03

「Calcium-binding to L-plastin and regulation of actin-bundling: development of new anti-metastasis drugs?」


時間:2018年8月3日(金)16:30〜17:30
場所:北海道大学 理学部本館3階 N308
講師:Professor Hans J. VOGEL
(Bio-NMR Centre and Metabolomics Research Centre University of Calgary, CANADA)

世話人:北海道大学大学院 先端生命科学研究院 相沢 准教授

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#18-02

「カルシウムポンプの構造生物学:膜の可視化から量子化学計算まで」


時間:2018年6月18日(月)17:00〜18:30
場所:川医科大学・実験実習機器センターI・カンファレンスルーム
講師:豊島 近 教授
(東京大学・定量生命科学研究所)

世話人:旭川医科大学・医学部・生化学講座・機能分子科学分野 鈴木裕 教授

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#18-01

「メカノメディスン:基礎医学研究から不妊治療・再生医療への 展開のアップデート」


時間:2018年2月2日(金)17:30〜19:00
場所:旭川医科大学 臨床第3講義室
講師:成瀬恵治 教授
(岡山大学大学院 医歯薬総合研究科)

世話人:旭川医科大学・医学部・理学講座・自律機能分野 高井章 教授

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2017年
#17-06

「NMRデータサイエンス~IoT/ビッグデータ/AI時代の情報活用戦略~」


時間:2017年12月22日(金)13:00〜14:30
場所:北海道大学 理学部 5 号館大講堂
講師:菊地 淳 先生(理化学研究所・環境代謝分析研究チーム )
(理化学研究所・環境代謝分析研究チーム )

世話人:北海道大学大学院 先端生命科学研究院 相沢智康 准教授

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#17-05

「「高難度蛋白質」の構造解析を通じた病態発症メカニズムの解明と創薬へ向けた取り組み」


時間:2017年11月10日(金)17:00〜18:00
場所:旭川医科大学 医学部総合研究棟8階カンファレンスルーム
講師:小川 治夫 准教授
(東京大学 分子細胞生物学研究所)

世話人:旭川医科大学医学部生化学講座 機能分子科学分野 鈴木裕教授

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#17-04

「光生体計測の視点-マクロとミクロの現象解析-」


時間:2017年9月28日(木) 13:30~14:00
場所:北海道大学・シオノギ創薬イノベーションセンター(北キャンパス)
講師:岩井俊昭 教授
(東京農工大学 工学研究院 生物システム応用科学府)

世話人:北海道大学 大学院先端生命科学研究院・先端細胞機能科学分野 金城 政孝

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#17-03

「ルツハイマー病危険因子SORLAのVPS10Pドメインによるアミロイドペプチド認識機構の解明とその後」


時間:2017年7月21日(金)17:00〜18:00
場所:北海道大学 薬学部多目的室2
講師:北郷 悠 助教
(大阪大学 蛋白質研究所)

世話人:北海道大学大学院 薬学研究院 前仲勝実教授

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#17-02

「クライオ電子顕微鏡のより、構造生物学」


時間:2017年5月30日(火)
場所:北海道大学 薬学部多目的室2
講師:岩崎憲治 准教授 
(大阪大学 蛋白質研究所)

世話人:北海道大学大学院 薬学研究院 前仲勝実教授

#17-01

「細胞骨格を介した血管機能制御の分子機構とその破綻」


時間:2017年5月18日(木)17:30〜19:00
場所:旭川医科大学・実験実習機器センター3階・カンファレンスルーム
講師:江藤真澄先生
(Thomas Jefferson University、USA)

世話人:旭川医科大学・医学部・理学講座・自律機能分野 高井章 教授

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2013年
#13-06

「Lanthanides Helical Complexes with Reference to Other Highly Coordinated Complexes」


日時:  平成25年8月28日(水)15時00分〜16時00分
場所:  札幌医科大学 保健医療学部 6階620号室
講師:  Prof. Sam P. Sinha
(Scientific Research & Development DAYTON, OHIO, USA)

講演内容:

ランタニドは、永久磁石の材料あるいはレーザー素子の主成分として知られている。ランタニドは有機物と錯体を形成し、配位子の種類や反応機構により、7配位、8配位、・・・、12配位などのフレキシブルな配位化合物を形成する。ランタニド錯体は、ヘリケートという螺旋構造を形成することがある。ランタニド系列にユーロピウム(Eu)が知られている。Eu錯体のヘリケートについての最近の研究を紹介する。

連絡先:
札幌医科大学医療人育成センター
松嶋 範男
TEL:011-611-2111
e-mail:matusima [at] sapmed.ac.jp

#13-05

「毛髪キューティクル内Ca2+, Zn2+恒常性維持のための
 蛋白質翻訳後修飾制御機構の解明へ向けて」


日時:  平成25年8月1日(木)15時00分〜16時00分
場所:  北海道大学理学部5号館205号室
講師:  海野 昌喜 先生
(茨城大学大学院 理工学研究科・応用粒子線科学専攻・教授)

講演内容:

蛋白質脱イミノ化酵素タイプIII(PAD3)は、毛髪キューティ クル細胞内に多量に発現するEF-ハンド型Ca2+結合蛋白 質S100A3と共局在し、S100A3のArg51を特異的にシト ルリン化する。この翻訳後修飾が、キューティクル角化過 程においてCa2+, Zn2+の恒常性維持のために重要な反応 であることが示唆されており、我々は、その解明を目指し ている。

連絡先:
北海道大学大学院理学研究院
化学部門 物理化学分野 構造化学研究室
石森 浩一郎
TEL:011-706-2707
e-mail:koichiro [at] sci.hokudai.ac.jp

#13-04

「脳血管疾患モヤモヤ病に関与するATPアーゼ/ユビキチンリガーゼ、ミステリンの構造と機能」


日時:  平成25年7月8日(月)16時30分〜17時30分
場所:  北海道大学理学部5号館304号室
講師:  森戸 大介 先生
(京都産業大学 総合生命科学部・構造生物学研究センター 博士研究員)

講演内容:

モヤモヤ病は日本・中国・韓国で比較的高頻度に見られる脳血管疾患で、大脳基底部の内頸動脈終末部において、原因不明の動脈の狭窄・閉塞を起こすことにより、脳虚血・出血にいたる疾患である。現在、国内に1万人を超える患者が認められ、そのうち10~15%が家族性の発症とされている。そのため長らく遺伝因子の関与が疑われてきたが、我々は2011年に、初めてのモヤモヤ病感受性遺伝子としてミステリンを同定した。ミステリンORF内の稀なSNPにより、モヤモヤ病の発症率は100倍以上高まることが分かった。ミステリン遺伝子には新規の巨大タンパク質(約600 kDa)がコードされており、活性のあるATPアーゼドメインとユビキチンリガーゼドメインが含まれていた。ゼブラフィッシュを用いたノックダウン実験では、ミステリンの発現抑制により顕著な血管ガイダンスの乱れと生理的な血管新生の亢進が引き起こされた。これらの結果は、ミステリンが生理的な血管制御因子であり、そのORF内の稀なSNPにより血管疾患を引き起こすことを強く示唆している。ミステリンの分子・細胞・個体レベルでの機能・構造解析について、最近の進展を紹介する。

連絡先:
北海道大学先端生命科学研究院
細胞機能科学分野
北村 朗・金城 政孝
TEL:011-706-9006
e-mail:akita [at] sci.hokudai.ac.jp

#13-03

「Mathematical modeling of mammalian cell reprogramming」


日時:  平成25年7月5日(金)16時00分〜17時00分
場所:  北海道大学理学部5号館302号室
講師:  Prof. Jianhua Xing
(Virginia Polytechnic Institute and State University, USA)

講演内容:

Recent breakthroughs of cell phenotype reprogramming hold a great promise that quantitative understanding of phenotypic transition dynamics would be a key step towards future development of cell biology. Theoretical descriptions of cell differentiation can be dated back to Waddington’s phenomenological picture of epigenetic landscape. Yet, despite its popularity the question of how to map the epigenetic landscape into predictive models remains largely unanswered. Here we develop a novel “epigenetic state network” approach capturing global architecture of cell phenotypes that helps turning the conceptual epigenetic landscape into a more quantitative fashion. As a testing case, we apply the approach to describe the fibroblast reprogramming dynamics. Numerous experimental observations support the predicted states and pathways. A rate-limiting step for cell phenotypic transitions is epigenetic chromatin modification. To be more general, cells sharing the same set of genomes may exist in different and inheritable cell fates. Epigenetic histone covalent modification is one of the main mechanisms regulating this non-genetic inheritance. However, the exact molecular mechanism for epigenetic memory is not clear. Using experimentally observed molecular properties and estimated parameters, we construct a Potts-type discrete-state model describing the dynamics of a linear chain of histones with both their binding states of histone modification enzymes, and their covalent modification states. Changing of the binding states, which is often in subsecond time scales, is treated as an equilibrium process assisted with the transfer- matrix technique. Cooperative enzyme binding leads to effective nonlocal effects of a histone on influencing the covalent state of others, as revealed by stochastic simulations. This nonlocal cooperative effect, together with a positive feedback due to histone covalent state dependent enzyme binding affinity, gives rise to epigenetic histone modification patterns that are robustly inheritable against strong perturbations due to stochastic enzymatic reactions, histone turnovers, and cell cycle dependent histone replacements.

連絡先:
北海道大学電子科学研究所
小松崎 民樹
TEL:011-706-9434
e-mail:tamiki [at] es.hokudai.ac.jp

#13-02

「染色体をつくる」


日時:  平成25年6月13日(木)16時30分〜18時00分
場所:  北海道大学理学部本館N308号室
講師:  舛本 寛 先生
(かずさDNA 研究所・ヒトゲノム研究部・細胞工学研究室・室長)

講演内容:

染色体分配機能に関わるセントロメアでは、その外側部にセントロメアクロマチンの集合とともにキネトコア構造が形成され、微小管との相互作用により染色体の動きを調節する。一方、セントロメアの内側部ではヘテロクロマチンが形成され、染色分体分離のタイミングを調節する。このセントロメア外側と内側の機能が正しく制御されることで染色体は安定に次世代細胞へと受け継がれる。哺乳類セントロメアは反復DNA(サテライトDNA)からなる巨大領域に形成されるが、同一サテライトDNA 上にセントロメアクロマチンやヘテロクロマチンなどの性質の違うクロマチン構造がエピジェネティックに集合するメカニズムについては不明であった。私達は合成サテライトDNA をヒトやマウスの細胞へ導入し人工染色体として独立に安定維持される条件を確立し、セントロメアクロマチンやヘテロクロマチンが集合するメカニズムの解明を進めてきた。さらに、得られた知見を利用し人工染色体上に各種融合ヒストン修飾酵素などを結合させ、自在にクロマチン構造やセントロメア機能を変換できるシステムを構築した。セミナーでは人工染色体を用いたセントロメア機能形成の研究を中心にお話しする予定です。

連絡先:
北海道大学大学院理学研究院
化学部門 生物有機化学研究室
村上 洋太
TEL:011-706-3813

#13-01

「「分光」では見えないタンパク質反応を時間分解分光で観る」


日時:  平成25年6月4日(火)16時00分〜
場所:  北海道大学理学部2号館211号室
講師:  寺嶋 正秀 先生
(京都大学大学院 理学研究科・教授)

講演内容:

生体分子の化学反応、特に生理機能と関係する反応を 理解するためには、静的な構造情報だけでは不十分であ り、ダイナミックな情報が必須となる。ここでは、通常の時 間分解「分光」では観えないタンパク質ダイナミクスを観 測する手法と、それで何が観えるかという結果について 解説する。特に、最近注目してる揺らぎやその反応との 関わりについても紹介する。

連絡先:
北海道大学大学院理学研究院
化学部門 物理化学分野 構造化学研究室
石森 浩一郎
TEL:011-706-2707
e-mail:koichiro [at] sci.hokudai.ac.jp

2012年
#12-10

「培養神経回路網における履歴現象と背景的な自発活動」


日時:  平成25年3月29日(金)10時30分〜
場所:  北海道大学工学部A棟1階1-17室 
講師:  工藤 卓 先生
(関西学院大学 理工学部 人間システム工学科)

講演内容:
的に決定された生体の神経回路網ではなく,培養された神経細胞間
の相互作用により自律的に形成されたものである.しかしながら,
生体においても局所的な回路は細胞間の相互作用と神経電気活動に
依存して自律的に形成されていると考えられ,分散培養した神経回
路網において観察されたダイナミクスの特性は生体の脳における情
報処理メカニズムに本質的であると考えている.培養した海馬神経
回路網の電気活動を複数の電極から同時に計測する細胞外電位多点
計測法は神経活動時空間パターンを計測する手段として有効である.
 この系において単一の刺激電極から電流刺激を行うと一定の誘発
応答パターンが発生する.比較的長期間培養した培養神経回路網に
おいては,事前の入力の有無に依存して誘発応答パターンが変化す
る履歴現象が発現する.この履歴は少なくとも11sから22s程度の
時間持続することが明らかになった.また,この履歴現象は誘発応答
における神経活動スパイクの頻度に依存し,培養日数が比較的少なく,
神経伝達強度が低い培養系では観察されなかった.ただし,Mg2+
不含細胞外液条件下でNMDA型グルタミン酸受容体が活性化して自
発性神経活動の頻度と誘発応答スパイク頻度が上昇すると,培養日
数が少ない培養系においても履歴現象が誘発された.このことは,
背景的に存在する自発性神経活動が誘発応答の時空間パターンを調
整している可能性を示唆する. 自発性神経活動の時空間パターンを
解析するために,個々の電極で計測された電位信号において神経活動
電位が1回発生する程度の短い時間窓ごとで,神経活動電位が発生
したか否かを1または0でそれぞれ表現した特徴ベクトルを生成し
た.この特徴ベクトルに対してX-meansクラスタリングを適用し,
神経活動パターンの類似性に基づいてクラスタを生成したところ,
ほとんどのクラスタはごく少数のデータしか含まず,全データの1%
以上を含むクラスタの数は,解析時間にかかわらず15個程度で安定
していた.このことから,本培養系における自発活動においては15
個程度の時空間パターンが繰り返し周期的に発生しており,その周
期は40秒程度であることが示唆された.この内在的な自発活動の周
期が誘発応答の履歴持続時間に影響を及ぼしていることが考えられ
る.
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連絡先:
北海道大学大学院工学研究院  
応用物理学部門 生物物理工学研究室
伊東 大輔
TEL:011-706-7331
e-mail:ditoh [at] eng.hokudai.ac.jp

#12-9

「メカノメディスン」

基礎医学研究から不妊治療・再生医療への展開

日時:  平成25年3月7日(木) 17:00〜18:30
  新たな日程が決まりました。
場所:  旭川医科大学・実験実習機器センター 3階カンファレンスルーム
講師:  成瀬 恵治 先生
(岡山大学・大学院・医歯薬総合研究科 システム生理学講座)

講演内容:

ヒトは外界からのメカニカル刺激を巧妙に受容・応答している。
メカノバイオロジーに関する研究 成果を医療応用するメカノメ
ディスン、特に不妊治療・止血・心臓再生治療などを紹介する。
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連絡先:
旭川医科大学
生理学講座・自律機能分野
高井 章
TEL:0166-68-2320


#12-8

「チトクロム酸化酵素の反応機構のピコバイオロジー 」


日時:  平成25年2月6日(水)16:30-17:30
場所:  北海道大学理学部5号館2階5-206号室
講師:  吉川 信也 特任教授(兵庫県立大学大学院生命理学研究科 ピコバイオロジー研究所)

講演内容:

時間分解赤外分光および高分解能X線構造解析による、チトクロム
酸化酵素の膜貫通α-helixがポンププロトンの取り込みを促進し逆流
を防止していることを示唆する結果を中心とした最近の研究成果を
紹介します。

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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森 浩一郎
TEL:011-706-2707


#12-7

「NMRの双極子相互作用をもとにした方向情報の取得とその応用」


日時:  平成25年2月6日(水)15:00-16:00
場所:  北海道大学理学部5号館2階5-206号室
講師:  池上 貴久 准教授(大阪大学蛋白質研究所 蛋白質解析先端研究センター)

講演内容:

核磁気共鳴法により、分子の距離情報や二面角情報を見積もること
ができ、それらが立体構造を決める時の大きな情報となってきまし
た。しかし、近年、さらに方向情報がD-couplingより得られること
が分かりました。この方向情報は構造を決める上で非常に強力です。
さらに、静的構造だけでなく、動的構造の解析にも使われています。
それらの原理や応用について紹介したいと思います。

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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森 浩一郎
TEL:011-706-2707


#12-6

「蛍光分子や粒子をプローブとした顕微鏡観察により明らかに
する蛋白質機能」


日時:  平成24年11月29日(木)18:00-19:00
場所:  旭川医科大学総合研究棟8階コンファレンスルーム
講師:  政池 知子 助教(学習院大学・理学部物理学科)

講演内容:

生物の構成要素を可視化し、動きと機能の関係を明らかにすること
で作動メカニズムの解明につなげるのが我々の目標である。講演で
は、構造変化を1分子もしくは1オルガネラレベルで検出した例を
紹介し、併せて関連する顕微鏡の技術開発についても触れたい。
まず蛋白質レベルについては、FoF1-ATP合成酵素の可溶性部分F1
-ATPaseをモデルとした。この酵素のATPase活性は中心軸_の回転
により大幅に加速されることが知られている。そのメカニズムを明
らかにするため、中心軸γと周りを取り囲む触媒サブユニットβの
関係に着目した。γをATP駆動で自発的にもしくは外力で強制的に
回転させ、βの構造変化測定を行った結果、βの構造変化は、γの
向き、回転方向、ヌクレオチド結合状態に依存する事が示唆された。
次にオルガネラのレベルについては、マウスの気管から単離した繊
毛の動きを3次元で測定した。鞭打ち運動の軌跡を球殻近似し、振
幅、速度、回転、高さについて有効打と回復打を比較することで、
運動の非対称性を定量化した。この結果から、異物排出のために気
管における液体の流れが生み出される機構について、分子レベルま
で考察する。

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連絡先:
旭川医科大学
医学部生化学講座機能分子科学分野
鈴木 裕
TEL:0166-68-2350
e-mail:hisuzuki ( at ) asahikawa-med.ac.jp

#12-5

「転写の分子機械」

日時:  平成24年11月12日(月)16:00-17:00
場所:  北海道大学理学部3号館3−205室
講師:  嶋本 伸雄 教授
(京都産業大学 総合生命科学部)

講演内容:

分子生物学は、生気論に対抗する生物機械論として1970年代に遺伝
の機構学として成熟し、その後は、特定のテーマをもつ学問ではな
く、現代生物学の最も基盤的な方法論に変貌した。1980年代からは、
新しい化学的、物理的手法を取り入れながら、生物学と化学・物理
の間の境界を埋める作業の原動力となってきた。かつてのテーマは、
分子生物学の「分子」の本意であるDNAであり、複製と転写研究を
中心に展開されたが、80年代からは、もっとも分子機械の名にふさ
わしい、転写に対して、あらゆる新手法が多くの場合最初に試され
て、次に生物学全域に広まってきた。
 元来、最初に分子生物学を名乗ったのは、X線結晶学であったが、
酵素構造生化学の域をなかなか脱出出来なかったために認知されな
かった。生物学を意識して構造生物学と変化し始めた80年代から、
DNA塩基配列の認識機構に始まって、RNA polymeraseで分子機械と
しての概念を生物学の内部で確立したことは、「化学の将来に光明
をあたえる」という理由でノーベル賞が与えられたように、現代の
生物、化学、物理を含んで融合した現代物質科学を象徴する事件で
ある。いまや構造生物学は、かつての「生化学の墓場」という暗い
あだ名から、「生物学の新出発」という輝かしい名前を付けられる
ようになった。
 RNA polymeraseは、真核、アーキア、バクテリアの生物3界を問
わず、共通の構造をもち、主な機構も共通である。
1) promoter search: DNA上で、転写因子の助けを借りてプロモー
ターに結合し、
2) RNAに転写すべきDNAの塩基を1本鎖にしたopen complexを形成し、
3) abotrive initiationという短鎖RNAを放出し続けたり、
4) promoter escape短鎖RNAを持ったままDNAの曲がる方向がかわる
大きな構造変化をおこしてelongation complexとなり、
5) pausingやbacktrackingを起こして合成を中断しながら、RNA伸
長を続け、
6) RNA ・DNA hybridを解消してterminationを起こす。
これらの転写複合体内の構造による機構の現状を概説し、数多くの
1分子実験で発見された、超化学現象にふれ、生物学と化学との境
界の様子を、生物学から眺めた透視図を描いてみたい。

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連絡先:
北海道大学電子科学研究所  
小松崎 民樹
TEL:011-706-9434
e-mail:tamiki ( at ) es.hokudai.ac.jp

#12-4

「Cytochrome c Oxidase: Oxygen Reduction and
Electron Transfer Coupled to Proton Translocation」


日時:  平成24年10月24日(水) 15:00〜16:00
場所:  北海道大学理学部6号館204-2室
講師:  Denis L. Rousseau 教授
(Albert Einstein College of Medicine, USA)

講演内容:

Cytochrome c oxidase (CcO) is the terminal enzyme in the electron
transfer chain of essentially all organisms that utilize oxygen
to generate energy. It reduces oxygen to water and harnesses
the energy to pump protons across the membrane where it resides.
  The latest understanding of the oxygen reduction mechanism
will be discussed.  Despite extensive studies, the mechanism by
which the redox reaction is coupled to proton translocation remains
unresolved, owing to the difficulty of visualizing proton movement
within the massive protein matrix during the turnover of the enzyme.
With a novel H/D exchange resonance Raman spectroscopic method,
a proton gate and a proton loading site have been identified, which
are regulated by the redox state of heme a.  These data support a
new molecular mechanism by which unidirectional proton translocation
along the H-channel is coupled to the electron transfer from heme a to
heme a3 associated with the redox chemistry.
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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森 浩一郎
TEL:011-706-2707


#12-3

「Using NMR to unravel aspects of cardiovascular function:
Drug design and schema 」


日時:  平成24年10月16日(火)14:00〜15:00
場所:  北海道大学理学部5号館低層棟大講堂(2-03室)
講師:  Brian D. Sykes 教授
(Department of Biochemistry, University of Alberta)

講演内容:

Mutations in the contractile proteins of the heart are known
to give rise to familial hypertrophic, dilated, or restrictive
cardiomyopathies. It is believed that mutations that increase
the calcium sensitivity of cardiac myofilaments give rise to
hypertrophic cardiomyopathy, while those that decrease
calcium sensitivity give rise to dilated cardiomyopathy.
The myofilament calcium regulatory protein troponin is a
promising therapeutic target in this regard. Our aim is to
elucidate the underlying mechanism(s) of how this protein
works. We have used high resolution NMR spectroscopy to
determine the three-dimensional solution structures of calcium
sensitizers and calcium desensitizers bound to the crucial
troponin C-I interface. We used the regulatory domain of troponin C
and its interaction partner, the switch region of troponin I
containing the ischemia-protecting Ala162His substitution,
to elucidate the structural details of their interaction under
normal and acidic conditions using high resolution NMR spectroscopy.
Our structures indicate that both calcium sensitizers and
desensitizers are characterized by hydrophobic groups that are
able to intercalate between the hydrophobic interfaces of
troponin C and I. We show that the binding of troponin I to troponin C
is reduced under acidic conditions, and that the presence of
the His162 mutation markedly increases its affinity both at
normal pH, and especially in the acidic environment.
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連絡先:
北海道大学大学院生命科学院
分子適応科学研究室
(産総研北海道センター)
津田 栄
s.tsuda ( at ) aist.go.jp
TEL:011-857-8912

#12-2

「細胞内ヘムセンサーとして機能する転写調節因子HrtRの構造と機能」


日時:  平成24年9月5日(水) 16:00〜17:00
場所:  北海道大学理学部7号館2-19/20室
講師:  青野 重利 教授
(岡崎統合バイオサイエンスセンター)

講演内容:

ヘムはタンパク質の補欠分子族として機能し、様々な生理機能制御
に関わっている。しかしながら、遊離のヘム分子が細胞内に過剰に
存在すると細胞毒性を示すため、生物は細胞内ヘム濃度を厳密に制
御する必要がある。我々は、乳酸菌Lactococcus lactisをモデル生
物として用い、乳酸菌の細胞内ヘム濃度制御の分子機構解明に取組
んでいる。乳酸菌では、過剰のヘム分子を細胞外に排出することに
よって細胞内ヘム濃度を制御していると考えられている。本講演で
は、乳酸菌細胞内で遊離のヘム分子のセンサーとして機能し、過剰
なヘム分子を細胞外へ排出するヘムトランスポーターの発現制御に
おいて中心的な役割を果たしている転写調節因子HrtRの構造と機能
について、我々の最近の成果を紹介する。
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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森 浩一郎
TEL:011-706-2707


#12-1

「Dynamics of methionine ligand rebinding in cytochrome c


日時:  平成24年5月14日(月) 15:00〜16:15
場所:  北海道大学理学部5号館5−205室
講師:  John E. Straub教授
(ボストン大学化学科)

講演内容:

ボストン大学化学科John E. Straub先生はJournal of Chemical
PhysicsのAssociate Editorを務められている方で、化学反応から蛋
白質のダイナミックスを対象に精力的に研究を進めてこられていま
す。今回、日本に訪問される機会を利用して、北海道大学にもお越
しいただくことになりました。上記のとおり講演会を開催致します
ので、皆様奮ってご参加下さい。
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連絡先:
北海道大学電子科学研究所  
小松崎 民樹
TEL:011-706-9434
e-mail:tamiki ( at ) es.hokudai.ac.jp

2011年
#11-8

「培養神経回路網における神経活動パターン・レパートリー」


日時:  平成24年3月23日(金) 11:00〜12:00
場所:  北海道大学工学部A棟1階A1-17室(物理工学系大会議室)
講師:  工藤 卓 先生
(関西学院大学・理工学部・人間システム工学科)

講演内容:

培養した神経細胞によって構成されたネットワークにおける情報処
理の本質は自己組織的に生じるネットワーク・ダイナミクスである.
細胞外電位多点計測システムを用い,培養した海馬神経回路網の電
気活動を複数の電極から同時に計測すると,複数の神経細胞が同時
に発火することによって生成される神経活動時空間パターンが観察
される.自発性活動においても,電流刺激に対する誘発応答につい
ても,神経活動パターンは無秩序に生成された偶発的なものではな
く,類似した活動パターンが繰り返し発生している.神経活動の時
空間パターンを類似度を基準としてクラスタリングを行い,神経回
路網の状態の安定性,周期性を考察した.具体的には,30 分間の自
発活動と60 s毎に印加した電流刺激に対する誘発応答に対してPCA
による次元縮約,KKZ前処理を行い,k-means法によるクラスタリ
ングを適用した.30 分間の計測時間の間でクラスタ数は安定して
おり,大きな変動は見られなかった.さらに,クラスタリング幅の
増加に伴い,検出されたクラスタ数も増加した.しかし,培養14 日
目の比較的短期間培養した神経回路網はクラスタリング幅が150 s
〜 200 s付近でクラスタ数の増加率が減少した.この結果は,神経
回路網の自発活動パターンには一定のレパートリーが存在し,これ
が繰り返し出現していることを示唆し,厳密ではないが近似的な一
定の周期を推定することが可能であることを示している.また,誘
発応答について解析を行った結果,電流刺激直後には非常に限られ
た数パターンのみ発現し,それらのパターンは刺激直後以外の計測
期間にも繰り返し発現していた.この結果から,誘発応答は自発活
動と全く異なるものではなく,自発活動がいくつかの状態を持つと
考えるならば,この状態のうち特定のものが電流刺激により誘発さ
れている可能性が示唆された.
 培養した神経回路網においてもある種の状態が定義可能であり,
パターン・レパートリーが神経回路網内部の情報表現の要素である
ならば,従来議論されてきた様な機械的な神経情報処理の様式を考
え直すと言う意味で非常に興味深い.
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連絡先:
北海道大学大学院工学研究院  
応用物理学部門 生物物理工学研究室
伊東 大輔
TEL:011-706-7331
e-mail:ditoh [at] eng.hokudai.ac.jp

#11-7

「TRPCチャネル蛋白質の複合体形成による心血管機能制御」


日時:  平成23年12月15日(木) 17:30〜18:30
場所:  旭川医科大学・実験実習機器センター 3階カンファレンスルーム
講師:  西田 基宏 先生
(九州大学大学院薬学研究院・薬効安全性学分野)

講演内容:

細胞の膜電位に依存しないCa2+流入を担うイオンチャネルの分
子実体としてTransient Receptor Potential (TRP)チャネルが注
目されている.TRPチャネルは,細胞外の様々な物理的・化学的
刺激によって活性化されるCa2+透過型カチオンチャネルであり,
遺伝子改変動物を用いた解析を中心に,体性感覚,特殊感覚,平
滑筋運動,呼吸,生殖,免疫など,生体の多彩な機能調節に関わ
ることが明らかにされてきた.さらに,多くの疾患モデル動物を
用いた解析から,高血圧,腎不全,神経疾患,慢性炎症など,様
々な病態においてTRPチャネル群が関与することもわかってきた.
こうした経緯から,TRPチャネルは未だ有効な治療法のない様々
な疾患に対する薬物治療の有望な分子標的として強い関心を集め
ている.
我々は心血管組織における受容体作動性TRPCチャネルの役割に
注目し,ジアシルグリセロールで活性化されるTRPCチャネル
(TRPC3とTRPC6)のヘテロ4量体チャネルが心肥大の誘導因子
として働くことを見出した.さらに,TRPCチャネルは様々な蛋
白質と相互作用することで,特異的なシグナル複合体を形成する
こともわかってきた.本セミナーでは,ジアシルグリセロール活
性化型TRPCチャネル蛋白質のユニークな機能とその心血管機能制
御機構について最新の知見を紹介する.
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連絡先:
旭川医科大学
生理学講座・自律機能分野
高井 章
TEL:0166-68-2320


#11-6

「核磁気共鳴(NMR)の測定法の原理の イメージ」


日時:  平成23年11月30日(水) 16:00〜
場所:  北海道大学理学部5号館3階5-3-05号室
講師:  池上 貴久 先生
(大阪大学蛋白質研究所 プロテオミクス総合研究センター)

講演内容:

前回はNMRを使うとどのような情報を得ることができるかについ
てお話ししました今回はそのような測定法の物理的原理にもう少
し触れたいと思いました。今回は、そのような測定法の物理的原
理にもう少し触れたいと思います。測定法の解説は、参考書に詳
しく記述されている場合もありますが、それらは英語の分厚い専
門書であったり、数式が多数であったりするため、その理解は必
ずしも簡単とは言えません。今回はできるだけ数式を使わずに、
イメージとして物理的原理をとらえることを目標にしたいと思い
ます。中には、数式による方が理解が簡単な場合もありますが、
その場合でも、数式をイメージによる理解で補強する事は大きな
意味があるでしょう。
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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森浩一郎
TEL:011-706-2707

         

#11-4

「シルクの新素材開発と将来展望」


日時:  平成23年12月22日(木) 11:00〜12:00
場所:  理学部5号館3階5-3-04号室
講師:  塚田 益裕 先生
(信州大学繊維学部・応用生物科学科)

講演内容:

近年のバイオテクノロジーの急速な進展に伴い、シルクが持つ物理
的機能特性が注目され、新しい機能を持つ新素材の開発と新しい利用
研究が活発化しています。カイコが生産するシルクは、純粋で多量な
試料を随時容易に入手でき、粉末、ゲル状物、膜状物等、形を自由に
変えることができ優れた成形性を示すことが特徴です。
今回は、繊維状のシルクを有機溶媒に溶かし、エレクトロスピニング
することで得られる極微細なナノファイバーの製造方法、シルクナノ
ファイバーの繊維径に及ぼす紡糸条件の影響について紹介します。講
演の後半では、排水中に含まれる金属イオンを化学加工したシルクに
吸着させたり、脱着させる話題を提供します。免疫工学や細胞工学と
いったバイオテクノロジーを支える先端産業の関連分野や先端医療分
野への展開にもシルクが大きく貢献している現状をお話します。
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連絡先:
北海道大学大学院先端生命科学研究院
生命分子科学分野
河野 敬一
011-706-3806(Fax兼用)

         

#11-3

「脂質膜存在下でのタンパク質凝集形成と膜の機能障害」


日時:  平成23年8月12日(金) 16時00分~
場所:  理学部5号館低層棟5-3-02室
講師:  笹原 健二 先生
(神戸大学医学研究科 生化学・分子生物学講座)

講演内容:

近年、タンパク質の天然構造が壊れたり、間違ってフォールデイング
をすることが原因で微細な線維構造(アミロイド線維)が形成され、
病気の引き起こされる例が多く見つかってきた。アミロイド線維の沈
着する疾患をアミロイド病(アミロイドーシス)と総称し、現在、ヒ
トの約30種類の病気に共通して見られる。アルツハイマー病、パーキ
ンソン病、II型糖尿病などのほか、狂牛病やクロイツフェルトヤコブ病
などのプリオン病もアミロイド病と考えられている。多くの実験結果か
ら、アミロイド線維及びその形成途中のオリゴマー状態は、細胞毒性を
細胞毒性機構を解明するモデル実験系を構築している。アルツハイマー
病患者脳内及びII型糖尿病患者膵臓内でアミロイド線維を形成するペプチ
ドを例にとり、これらのペプチドの脂質膜への結合、膜結合状態からの
アミロイド線維形成・沈着、更にこれらの挙動が膜の動的な性質(膜の
流動性、膜ドメインの形成)に及ぼす影響について報告する。
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連絡先:
北海道大学大学院先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門
生命分子科学分野
相沢 智康
011-706-3806(Fax兼用)

         

#11-2

「解鎖蛋白質(Unfolded Protein)の構造特性解析」


日時:  平成23年7月22日(金) 16時00分~
場所:  理学部7号館2階7-2-19/20号室
講師:  関 安孝 先生
(岩手医科大学・薬学部・講師)

講演内容:

蛋白質の折り畳み問題や,いわゆる天然変性蛋白質の分子認識機構を
分子論的に解明するためには,ポリペプチド鎖が解けた状態にある蛋
白質の構造の特性を理解する必要がある。多構造のアンサンブルとし
て存在するこれらの状態の構造解析には,様々な解析手法を駆使し,
得られる構造情報を統合する必要がある。我々は,高速・高精度を両
立する分子モデリング法を開発し,溶液X線散乱(SXS)と NMRの実
測データを再現する構造アンサンブルを生成することによって,各種
変性状態や天然変性蛋白質の構造特性を解析してきた。一見,ランダ
ムなポリペプチド鎖に見えるこれらの構造状態は,本当にランダムな
のかという問題を中心に議論したい。
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連絡先:
北海道大学大学院先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門
生命分子科学分野
相沢 智康
011-706-3806(Fax兼用)

         

#11-1

「蛋白質解析におけるNMR のより面白い活用法とは」


日時:  平成23年2月24日(木) 16時00分~
場所:  理学部6号館2階6-2-04号室
講師:  池上 貴久 准教授
(大阪大学蛋白質研究所 プロテオミクス総合研究センター)

講演内容:

この20 年間、NMR は蛋白質の立体構造を原子レベルで決定できる方法
の一つとして注目を浴びてきました。今後も立体構造決定への努力が続くこ
とは確かですが、構造決定のための大プロジェクトも終わりつつある今、この
数年でその方向性が変化して来たように思われます。将来、蛋白NMR と呼
ばれる分野は、どこに活路を見出していくのかを、少し主観的な考えも含め
ながらお話ししたいと思います。
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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森浩一郎
TEL:011-706-2707

         

2010年
#10-3

学術講演会


日時:  平成22年8月17日(金) 17時00分~19時00分
場所:  旭川医科大学・臨床第3講義室

“In search of the pyeloureteric pacemaker:
electrophysiological characterization of putative pacemaker cells'Interstitial cells”
講師: Dr. Richard J Lang
(Senior Research Fellow, Department of Physiology, School of Biomedical Sciences,
Faculty of Medicine & Health Sciences, Monash University, Clayton Victoria 3800, Australia)

“Interstitial cells in the urinary tract:
cooperation of endoplasmic reticulum and mitochondria in generating spontaneous activity”
「尿路間質細胞の代謝センサーとしての可能性: 細胞の周期性自動活性形成における小胞体とミトコンドリアの協調」
講師: 橋谷 光 先生
(名古屋市立大学、医学部、生理学講座、准教授)

講演内容:
  消化管や泌尿生殖器の平滑筋の自発的周期性収縮リズムを決定する ペースメーカ電位発生におけるCajalの間質細胞(interstitial cells of Cajal) の役割について、この分野を代表する内外の研究者をお招きして解説いただきます。

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照会先:
旭川医科大学 生理学講座・自律機能分野
高井 章
TEL: 0166-68-2322


#10-2

「筋萎縮性側索硬化症に関わるタンパク質凝集の制御メカニズム」


日時:  平成22年7月29日(木) 13時00分~
場所:  理学部7号館2階7-2-19/20号室
講師:  古川 良明 先生 
      (慶応大学理工学部化学科・准教授)

講演内容:
  筋萎縮性側索硬化症では、SOD1やTDP-43といったタンパク質が不溶性の凝集体を形成し、神経細胞を死に至らしめることが示唆されている。本発表 では、翻訳後に生じるタンパク質の修飾プロセスに着目し、生体内におけるSOD1及びTDP-43の凝集を制御する分子メカニズムについて議論する。

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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森浩一郎・内田毅
TEL:011-706-2707/3506

         

2009年
#09-8

最新医学フォーラム講演会「メカノメディスンの基礎と臨床」


日時:  平成22年2月18日(木) 17時00分~18時30分
場所:  旭川医科大学 実験実習機器センター 3階カンファレンスルーム
講師:  成瀬 恵治 先生 
      (岡山大学・大学院・医歯薬総合研究科システム循環生理学講座・教授)

講演内容:
  我々の体は常にメカニカルストレスにさらされ、適切に受容応答することにより恒常性を保って いる。本セミナーではメカニカルストレス受容応答の分子メカニズムから臨床応用までを講演する。

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照会先:
旭川医科大学 生理学講座・自律機能分野
高井 章
TEL: 0166-68-2322


#09-7

「北大発-アメリカ経由-名古屋行き:細菌の光応答に関する生物物理学的研究」

大学院生のためのアカデミックキャリア形成 ~生物物理若手研究者体験記~

日時:  平成21年12月21日(月) 16時00分~
場所:  北海道大学理学部2号館5階2-5-07号室
講師:  須藤 雄気 博士 
      (名古屋大学大学院理学研究科・准教授, JST/さきがけ・研究員(兼任))

講演要旨:
  私は、1996年に札幌市立旭丘高校を卒業し北海道大学薬学部に入学したが、知識を教える講義になじめず、2000年に劣等生として卒業することとなった。大学院では膜タンパク質の物理化学研究を行う加茂直樹教授の研究室(牧場)に属し、理学的研究に目覚めた(講義では一向に目覚めなかったが・・・)。博士課程では、牧場から脱走し、他大学・他研究室(奈良先端大、名工大、京大、阪大など)を飛び回った。その後アメリカでのポスドクを経て、現在は名古屋大学に所属している。細菌型ロドプシンの生物物理学的研究を中心に行っているが、上記過程で、何を感じ研究を行ってきたかを紹介し、僭越ながら現在北大に所属されている方々を何かしらの形でエンカレッジ出来たらと思っている。

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連絡先:
北海道大学大学院先端生命科学研究院
出村誠
TEL: 011-706-2771


#09-01

「線虫C.elegansにおける記憶行動を制御する
 全身性温度受容メカニズムの同定」


日時:  平成21年6月17日(水) 16時30分~
場所:  北海道大学理学部5号館3階5-304号室
講師:  杉 拓磨 博士 
      (名古屋大学大学院 理学研究科 生命理学専攻)

講演要旨:
 線虫Caenorhabditis elegansは、一定の「温度」と「えさ(大腸菌)」の存在する条件で飼育された場合、えさのない温度勾配上で、記憶した過去の飼育温度へと移動する。この行動は温度走性行動と呼ばれ、動物の温度受容と記憶を研究するための理想的なモデル系の一つと考えられている。本研究では、C. elegansが、温度記憶を形成する過程を、マイクロアレイ、遺伝学的手法、分子生物学的手法を利用して、ゲノムワイドに解析した。その結果、C. elegansは、飼育温度(15℃~25℃)の変化を、転写因子を介して、全身で感知すると、その温度情報を多くの新規下流遺伝子へと処理し、中枢の神経回路を細胞非自律的に変化させることにより、記憶行動を変化させるという新たなパラダイムを得た。本発表では、得られたパラダイムの一般性についての議論を通じ、線虫を用いた研究の面白さと、生化学的な手法と概念の応用の可能性について考えたい。

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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森浩一郎
TEL: 011-706-2707


2008年
         
#08-04

「タンパク質立体構造データベースとその応用」


日時:  平成20年10月22日(水) 15時00分~16時15分
場所:  北大理学部5号館304室(札幌市北区北10条西8丁目)
講師:  岩館 満雄 准教授 
      (中央大学理工学部)

講演要旨:
タンパク質の立体構造に関して、CASP(Critical Appraisal Skills Programme)をはじめとする国際コンテストの手法が認知されるとともに、X線やNMR等の実験でもしたかのような座標情報を算出できるようになってきている。その中でも主としてホモロジーモデリング法の技術によって、ゲノム上の任意のタンパク質はある割合で立体構造モデルが得られる状態にある。
 本セミナーの演者はかつてNMRでタンパク質立体構造を実験的に解析する研究を主としていたが、上記の国際コンテストを転機としてバイオインフォマティクスの中でも立体構造予測を専門とする分野を歩んできた経緯がある。本セミナーではその足跡とその集大成ともいえるモデルデータベースFAMSBASEを紹介するとともに、この分野の成果は何を可能としているのか?この分野に何が求められているのか?を議論していきたい。

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連絡先:
北海道大学 先端生命科学研究院
出村 誠
Tel: 011-706-2771






#08-03

「イオンチャネルの過去、現在、未来:
選択的透過と開閉の物理化学的基盤」


日時: 平成20年7月22日(火)15時30分~
    講演終了後、講師の先生を囲んで簡単な懇談会を実施します(軽食有)。
    参加希望の方は下記小松崎までご連絡ください。


場所: 北海道大学理学部5号館304号室

講師: 曽我部 正博 先生(日本生物物理学会会長)
    名古屋大学・大学院医学系研究科;
    JST・ICORP/SORST・細胞力覚;
    生理研・分子生理

講演要旨:
イオンチャネルはイオンの膜透過を触媒する酵素である。そのずば抜けた酵素活性(106/秒以上)により、1分子あたりの活性をデジタル的な単一チャネル電流として観測できる。イオンチャネルはイオン透過とチャネル開閉の2つの機構から成り、それぞれが単一チャネル電流の振幅とon-offキネティクスに反映している。近年いくつかのチャネル蛋白質の高次構造が明らかになり、上述した2大機能の構造的基盤が明らかになりつつある。しかし、得られている高次構造はスナップショットにすぎず、単一チャネル電流の持つ豊富な動的情報との間には大きなギャップがある。このギャップを埋めるには分子動力学に代表される計算論的アプローチが有効である。本講演では、イオンチャネル研究の歴史をホジキンハックスレーの時代からさかのぼって反省し、今日の到達点を、K+の選択性的透過機構と機械受容チャネル開閉機構の2例を通して確認し、今後の課題について考える。

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連絡先:
北海道大学電子科学研究所
(分子生命数理研究分野)
 小松崎 民樹
Tel: 011-706-2892





#08-02

「発生・分化に関わるペプチド・タンパク質の
立体構造解析と構造・機能相関」


日時: 平成20年5月19日(月)16時30分~17時30分
場所: 北海道大学理学部2号館4階2-402教室
講師: 永田 宏次 准教授
    東京大学 大学院農学生命科学研究科

講演要旨:
昆虫や甲殻類の脱皮・変態に関わるペプチドホルモンおよび酵母のリン脂質生合成酵素の構造・機能研究について発表する。
 ボンビキシンはカイコの脳から分泌されるペプチドで、無脊椎動物で初めて見つかったインスリン族ペプチドである。カイコ近縁種の蛾エリサンの蛹の成虫化を促進する活性を有する。我々は、ボンビキシンとインスリン間に交差活性がない理由を明らかにするために、ボンビキシンの立体構造を決定し、インスリンの構造と比較し、活性の特異性を決定する構造要因を特定した。
 甲殻類ではアミノ酸配列が類似している脱皮抑制ホルモンと血糖上昇ホルモンが眼柄内X器官の神経分泌細胞群で合成され、サイナス腺に貯蔵された後、血液中へ放出される。2種類のペプチドホルモン間の活性の特異性を決める構造要因を明らかにするために、脱皮抑制ホルモンの立体構造を決定し、それを基に構築した血糖上昇ホルモンの構造モデルとの構造比較から活性特異性決定要因を提唱した。
 真核細胞の生体膜は、細胞小器官ごとに特徴的なリン脂質の組成比を維持しており、リン脂質の生合成や分配の制御は真核細胞の活動に不可欠である。我々は酵母におけるホスファチジルエタノールアミン生合成の鍵酵素ECT1の結晶化を行い、基質や反応産物との複合体構造3種類を決定した。構造からECT1のSequential Ordered Bi-Bi反応機構を明らかにした。

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連絡先:
北海道大学 大学院先端生命科学研究院
相沢 智康
Tel: 011-706-3806




#08-01


「新しい脳内活性物質としての神経ステロイド
- 学習記憶促進と虚血性傷害保護作用 -」


日時: 4月18日(金)17:30 ~ 19:00
場所: 旭川医科大学 機器センター3F
    カンファレンスルーム(開場17:00)
講師: 日本生物物理学会会長 
    曽我部 正博 先生
     名古屋大学・大学院医学系研究科;
     JST・ICORP/SORST・細胞力覚;
     生理研・分子生理

本講演会は、大学院講義を兼ねて開講します
学外からの御来聴大歓迎です

演者略歴
北海道上川郡比布町出身
1973年 大阪大学基礎工学部・生物工学科(大沢文夫研)卒
1992年より名古屋大学教授
研究室ホームページ: http://www.med.nagoya-u.ac.jp/physiol2/

講演要旨:
最近になって、エストロゲンを始めとした様々なステロイドが脳内で合成され強力で多様な神経作用因子として働くことが明らかになってきた。その合成分泌機序には不明な点が多いが、脳内濃度低下と老人性痴呆症の相関、ストレス時における合成促進などが知られている。一方神経ステロイドを外部投与すると学習記憶能力が著しく促進したり、虚血性神経傷害を防止することが分かっている。我々は最近ある種のステロイドは脳虚血発症後に投与しても充分に保護作用を示すという注目すべき結果も得ている。本講演では、外部投与した神経ステロイドの海馬シナプス可塑性に対する効果の詳細な解析を通して、この物質の学習記憶促進作用や脳虚血傷害保護作用の分子機構について議論する。

協賛: 日本生理学会北海道地方会


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連絡先:
高井 章(旭川医大・生理学講座・自律機能分野)
Tel 0166-68-2320 または 2322




2007年

#07-10


「電荷周期性のあるタンパク質はどう進化したか?」

 
会場が変更されましたのでご注意下さい


日時: 2008年1月8日(火) 13:30-14:30
場所: 北大 学術交流会館・小講堂
    (札幌市北区北8条西5丁目 Tel: 011-706-2141)

講師: 美宅 成樹 先生
    名古屋大学大学院工学研究科

講演要旨:
ゲノムからの全タンパク質を解析したところ、電荷の分布に非常にシャープな周期性が見られた。それらのタンパク質がどのように進化の過程で増えてきたかということは、進化のプロセスを考える上で非常に大事な問題である。私たちが最近開発している計算科学的アプローチとからめて紹介したい。

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美宅先生は2007年度まで日本生物物理学会会長を務められました。今回、北大大学院生命科学院の特別講義として来札されるのを機会に、先生の最新の研究をご紹介いただけることになりました。多数の皆様のご来場を歓迎いたします。

連絡先:
出村 誠 (北大院先端生命)
Tel 011-706-2771




#07-11


「脂肪細胞は様々な生理活性物質を分泌する内分泌細胞である -アディポサイトカインとアディポソーム-」


日時: 平成19年12月10日(月) 15時00分~16時00分
場所: 北海道大学工学部 A棟3階A3-62 (物理工学系会議室1)
講師: 青木 直人 准教授
     三重大学大学院 生物資源学研究科

講演要旨:
脂肪細胞(adipocyte)は,過剰に摂取したエネルギーを中性脂肪(トリグリセライド:triglyceride)の形で蓄積する単なる“静的で無駄な貯蔵庫”ではなく,生体のエネルギー代謝状況に応じてアディポネクチン(adiponectin)をはじめとする一連の機能性分子(アディポサイトカイン:adipocytokine)を盛んに分泌する “動的で必要不可欠な内分泌細胞”である。我々はアディポサイトカインに加え,脂肪細胞が脂質とタンパク質に富む膜小胞(アディポソーム:adiposome)を盛んに分泌することを見出した。今回は生化学的,形態学的手法を駆使してその同定に至った経緯,明らかになりつつある分泌制御機構を中心に紹介するとともに,今や誰もが知るメタボリックシンドローム(metabolic syndrome:通称メタボ)病態への関与の可能性についても触れたい。

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連絡先:
北海道大学大学院 工学研究科
永山 昌史
Tel: 011-706-6637



#07-8


"SPONTANEOUS Ca2+ AND ELECTRICAL SIGNALS
IN THE PYELOURETERIC SYSTEM THAT DRIVE PERISTALSIS"

日時: 平成19年9月28日(金) 17時30分~18時30分
場所: 旭川医大・実験実習機器センター・カンファレンスルーム
講師: Dr. Richard J LANG
    (Sinior Research Fellow, Monash University)

講演要旨:
 平滑筋(特に尿道平滑筋)の自発的周期性収縮のもとになるペースメーカ電位の発生メカニズムに関し、この分野で注目されている、いわゆるCajalの間質細胞(interstitial cells of Cajal; ICC)の関与に関する電気生理学的知見を中心に紹介する。

演者自身による講演要旨を次のURLにアップロードしております。
http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/phys1/files/RickLang.pdf

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連絡先:
旭川医科大学・生理学講座・自律機能分野
高井 章
0166-68-2320(直通)




#07-7


「金属タンパク質成熟化因子の結晶構造」


日時: 平成19年 9月19日(水)16時45分~18時00分
場所: 理学部2号館2-402室
講師: 三木 邦夫 教授 
     京都大学大学院理学研究科

講演要旨:
 金属タンパク質がその機能を獲得するには,タンパク質内に金属原子やその配位子を組み込むこと(成熟化)が必要ですが,この成熟化を助ける因子(タンパク質)の存在が知られています.
 今回私たちは,プロトンから水素分子を可逆的に発生させるヒドロゲナーゼで,活性部位に存在する金属原子(NiとFe)やその配位子を組み込む成熟化因子として知られているタンパク質のうち,鉄原子の化学修飾および組み込みに関与する3つの因子(HypC,HypD,HypE タンパク質)の結晶構造を決定しました.
 それらの立体構造に基づいた成熟化の反応機構についてお話しします.


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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院
生命理学部門 分子生命科学研究室
河野 敬一
Tel:011-706-2770




#07-5


「ラマン円偏光二色性分光によるタンパク質の
高次構造解析法の開発 」


日時: 2007年9月4日(火)17:00〜
場所: 理学部5号館2階5-2-05号室
講師: 海野 雅司 准教授
所属: 佐賀大学理工学部・機能物質化学科

講演概要:
 タンパク質の機能はしばしば水素結合ネットワークの構造変化や分子構造の歪など、わずかな構造変化が引き金となって実現されている。我々はこのような従来では見ることのできなかたタンパク質構造の小さな変化を観測する新しい技術であるラマン円偏光二色性分光法の開発に取り組んでいる。講演ではラマン円偏光二色性分光法の原理とその開発状況を紹介するとともに、本手法の可能性について議論したい。

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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森浩一郎
TEL: 011-706-2707



#07-6


「細胞のメカニカルストレス受容機構の解明
− イオンチャネルではないメカノセンサーの発見」

日時: 平成19年8月29日(水) 15時00分~16時00分
場所: 北海道大学 理学部2号館2-507講義室
講師: 澤田 泰宏(Sawada Yasuhiro), M.D., Ph.D.
    Department of Biological Sciences, Columbia University

講演要旨:
 物理的な力(メカニカルストレス)が、循環器、神経、骨など多くの組織の発生や機能の制御に重要な役割を果たしていることが知られている。さらに、癌の侵潤や転移において基質への接着が重要であることは、癌細胞の機能発現あるいは癌化自体における、メカニカルストレスに関わる生物学的現象の重要性を示唆する。
近年の細胞のメカニカルストレス応答機構に関する研究により、様々な細胞内シグナルがメカニカルストレスによって活性化されることが明らかとなっている。しかし、細胞のメカニカルストレスの受容機構、すなわち細胞に負荷される物理信号が細胞内の(生)化学信号に変換される直接的なメカニズムについては、イオンチャネルの関与が知られているのみであった。これまでに我々は、低分子量G蛋白質(small GTPase)の一つであるRap1の活性化が細胞伸展による p38 MAPキナーゼの活性化に関わっていること(文献1)、細胞骨格中に細胞伸展の受容機構があること(文献2)、細胞骨格中のタンパクのチロシンリン酸化が細胞伸展によるRap1の活性化に重要な役割を果たしていることを報告した(文献3)。
今回、この研究をさらに進め、Srcファミリーキナーゼの基質であるp130Casのチロシンリン酸化が細胞伸展によるRap1の活性化に重要であること、および細胞伸展による p130Casのチロシンリン酸化の促進は、キナーゼの活性化を介するのではなく、p130Cas自身の基質部分のコンフォメーションの変化を介していることを明らかにした(文献4)。したがって、 p130Cas は伸展という物理信号を(生)化学信号に変換する分子といえる。イオンチャネル以外のメカニカルストレス受容体(メカノセンサー)としては最初の報告となる。

参考文献
1. Sawada Y. et al. Rap1 is involved in cell stretching modulation of p38 but not ERK or JNK MAP kinase. J Cell Sci. 2001.
2. Sawada Y. and M. P. Sheetz. Force transduction by Triton cytoskeletons. J Cell Biol. 2002.
3. Tamada M., M. P. Sheetz, and Y. Sawada. Activation of a signaling cascade by cytoskeleton stretch. Dev Cell. 2004.
4. Sawada Y. et al. Force sensing by mechanical extension of the Src family kinase substrate p130Cas. Cell. 2006
5. 澤田泰宏ほか. Srcファミリーキナーゼの基質p130Casの伸展を介するメカノセンシング. 実験医学. 2007年4月号
6. 澤田泰宏. 細胞骨格に存在する新しいタイプのメカノセンサーの発見. 蛋白質核酸酵素. 2007年9月号

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連絡先:
北海道大学 大学院理学研究院 生命理学部門
芳賀 永
TEL: 011-706-4909



#07-3,4



日時: 平成19年8月06日(月) 15時00分~17時00分
場所: 室蘭工業大学・総合研究棟・Y202号室

15時00分~

「放射光X線広角散乱法によるタンパク質の階層構造と
フォールディングの研究」


講師: 平井 光博 教授
     群馬大学大学院工学研究科 物質創製領域(荒牧)

講演要旨:
 本講演では放射光X線広角散乱法の現状について解説する。
放射光X線散乱法は,サブナノメートルからマイクロメートルに及ぶ空間スケールの構造評価の手段として,様々な生体材料・生体システムの多様な条件下でのin situ構造解析に適した強力な手法と位置づけられる。特に,広い散乱角(q)領域のX線散乱(X線広角散乱)を高精度で測定することが生体高分子複合系の階層構造と機能発現の関係を解明する鍵となる。タンパク質には2次構造,ドメイン構造,3次・4次構造などの構造階層性が存在しているが,第3世代の放射光源を利用して広い空間領域で高い統計精度のX線散乱を観測すると,タンパク質の構造の特徴(構造分類など)に依存した全階層構造の解析が可能であり,また,フォールディング/アンフォールディング転移における分子内部の構造変化や揺らぎの階層構造依存性と構造相関を詳細に議論できる。現在,タンパク質結晶構造解析法の進展によって膨大な数の結晶構造が明らかとなっているため,より生理的環境に近い溶液中でのタンパク質からの高統計精度のX線広角散乱データを,結晶構造を基に解析することで機能状態での構造変化を知ることも可能であり,また,結晶構造の明らかな多くのタンパク質の溶液X線広角散乱を測定してデータベース化することにより,結晶化を経ずに溶液散乱パターンから直接タンパク分子の2次構造や3次構造を推定することも提案されている。将来的には,タンパク質とリガンドとの特異的・非特異的結合などを溶液中で検出し,創薬開発に用いることも可能になるかもしれない。

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16時00分~

「生体組織再生を目指した蛋白質モジュール・
サブセルラーモジュール・ティシュモジュールの開発」

講師: 徳永 史生 教授  
     大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻

講演要旨:
医療の分野で再生医療の研究が盛んであるが、今基本となる考え方が必要であると思われる。多細胞からなる生物体は、原子、分子、高分子、超分子、オルガネラ、細胞、組織、器官、個体と階層構造をなしている。それぞれのホロンは独自の時定数を持って運動し、機能を展開している。臓器再生現象を考える時、下の階層のホロンを作り、上のホロンへと組み上げていくことになるが、このとき時間・空間を微妙に制御することが必要である。私どもは科学技術振興事業団の支援を受けて、レーザーナノプロセスによる蛋白モジュールの開発し、ナノ自己組織化からマイクロ自己増殖の系を確立することを目指し、増原宏阪大名誉教授、佐々木孝友阪大名誉教授・兼松泰男阪大VBL教授、開祐司京大再生研教授、森肇京工繊大教授のグループと共に、軟骨組織形成をモデルとし、この5年間研究を進めてきた。その成果のあらましと基本的考え方を紹介する。

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連絡先:
室蘭工業大学 材料物性工学科
岩佐 達郎
TEL:0143-46-5661



#07-2


「ヘム含有グロビンタンパク質の新しい機能」

日時:2007年5月15日(火)16:00〜
場所:理学部5号館3階5-3-04号室
講師:澤井 仁美 博士
所属:日本学術振興会特別研究員・岡崎統合バイオサイエンスセンター

講演概要
約10年前までヘム含有グロビンタンパク質の機能は、酸素の貯蔵運搬であると定義されていた。しかし近年のゲノム解析により、ヘム含有グロビンタンパク質をセンサー部位とするタンパク質の存在が明らかになった。本講演では、このようなグロビン型センサータンパク質について、明らかにした最新の結果を含めて紹介する。

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連絡先:
北海道大学大学院理学研究院 化学部門
物理化学分野 構造化学研究室
石森浩一郎
TEL:011-706-2707



#07-1


「ロドプシン類の多様性と機能進化」

日時: 2007年5月15日(火)13:30-14:30
場所: 北大 理学部2号館 5階506室
講師: 七田 芳則 先生(京都大学大学院理学研究科)

概要:
分子系統樹から推察されるロドプシン類の機能多様性を種々の生物物理学的解析により分子レベルで解析し、ノックインマウスの作製を通じて機能進化との連関を考察する。時間があればロドプシンの代謝型グルタミン酸受容体との機能発現の類似性について議論する。

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問合せ先: 出村 誠(北大院先端生命)
        Tel:706-2771