TetRファミリー転写因子SCO0332

SCO0332の立体構造

 結晶構造解析法によって,SCO0332の立体構造を2.25 Aの分解能で決定した.構造解析 によりSCO0332が多くの転写因子に共通してみられるhelix-turn-helix (HTH) DNA結合モ チーフをもち,2量体構造をとっていることが明らかとなった.また,他のTetRファミリ ーの転写因子と有意な立体構造相同性が確認された.構造相同性が高い,黄色ブドウ球 菌由来の多剤耐性転写因子QacRのリガンド認識部位に相当する位置に,SCO0332にもポケ ットが確認され,その内部に環状構造をもつ低分子化合物の電子密度が確認された.ま た2量体間のHTHモチーフのDNA認識helixの距離が45.9 AとDNAと結合するには大きすぎる ため,本研究で明らかとなった構造はDNA非結合型であり,リガンド結合時にSCO0332が DNA非結合型となって転写調節を行うリプレッサーの機能を有していることが明らかと なった.さらにSELEX解析およびゲルシフトアッセイによりSCO0332のゲノム上の結合 位置,オペレーター部位を決定した.その配列はsco0332の2つ上流の遺伝子sco330の プロモーター部位と重なって存在しており,SCO0332がsco0330の転写調節を行うリプ レッサーであることを明らかにした.

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