MinDのX線結晶構造解析

MinD のX線結晶構造解析用のデータ収集は放射光施設 SPring-8 でセレンのX線吸 収端付近の波長のX線を用いて測定し,多波長異常分散法で解析しました.
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原子のX線吸収端近傍では,吸収効果によって原子散乱因子が大きく変化しま す.そのことを異常分散と呼び,このための「差」をうまく使って構造解析を行 うのが多波長異常分散法( MAD法 ) です.

左の図はMinDの結晶にX線を照射して測定した蛍光スペクトルで,図で分かる ように吸収端近傍では蛍光強度(すなわち原子散乱因子)が大きく変化します. MinDの構造解析にはピーク(Peak), エッジ(edge), リモート(Remote) の3つの波 長のX線を用いて測定しました.
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左の写真は実際のX線回折写真の例です.MinD のような蛋白質の結晶にX線を 照射すると沢山(数千から数万)の回折点がX線検出器に記録されます.

放射光施設ではX線検出器にはCCDが使用されるようになり,データ収集時間 が大幅に短縮されました.この例の写真は5秒の露光で撮影されました.

このような回折強度データをコンピューターを用いて処理し,様々な計算を 行うことで,結晶中の電子密度分布を得,それを元に3次元グラフィクス上で蛋 白質分子の構造モデルを構築します.