北海道大学大学院先端生命科学研究院 ソフト&ウェットマター研究室
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特別経費プロジェクト

北海道大学運営費交付金

ソフト&ウェットマテリアルが拓くライフイノベーション

-高分子材料科学と再生医学の融合拠点形成-

北海道大学運営費交付金特別経費プロジェクト『ソフト&ウェットマテリアルが拓くライフイノベーション-高分子材料科学と再生医学の融合拠点形成-』

研究代表者:龔 剣萍(グンチェンピン)教授
研究期間:2013年度~2017年度

生体は硬い骨格を除き、その殆どが50%以上の水を含む軟組織から構成されています。生体軟組織は細胞代謝など生命活動の場を提供しているだけでなく、柔軟性、強靭性、衝撃吸収性などといった生体運動を担う力学機能をも備えているため、その機能喪失は、我々の日常的な活動に対して致命的な影響を引き起こします。現在、機能を喪失した生体軟組織の治療のためには、当該組織を生体適合性材料(生体材料)で置き換えるという手法が主に行われています。しかし、従来の生体材料はハード&ドライな固体物質によるものが殆どであり、物性の違いによる様々な問題を引き起こしています。ゆえに、生体軟組織に類似する機能をもつソフト&ウェットマテリアルを創出し、生体材料に応用することは、本邦のライフイノベーションの推進における緊急課題です。

北海道大学は、軟骨に匹敵する驚異的な力学強度と生体適合性を示すダブルネットワークゲル(DNゲル)を開発し、またDNゲルを用いて、生体内における関節軟骨の自然再生誘導を世界で初めて発見するなど、ソフト&ウェットマテリアルの創成とその再生・再建医学への応用に関して世界をリードしています。しかし近年、世界中の研究者が本研究の重要性と将来性を認識し始めており、2010年以降、精力的に追随研究を開始し我々に迫りつつあります。DNゲル研究に関しては、米国、中国、欧州、豪州などの20を超える研究グループによって、数多くの追随論文が発表されています。また、cell-freeな組織再生に関しても米国、ドイツなど十数グループが追随論文を発表しています。特に米国においては、NIHおよびNSFの潤沢な助成を受けて、高強度・高機能ゲルの追随研究が多くのグループにより精力的に進められています。

このような背景の元、本学におけるソフトマテリアル研究の優位性を保つため、平成23年11月に本学創成研究機構特定研究部門プロジェクト「疑似生体組織ゲルの創製と軟骨医療への応用」が立ちあげられました(平成28年10月終了)。またこの研究を格段に加速させるため、平成25年4月に特別経費プロジェクト「ソフト&ウェットマテリアルが拓くライフイノベーション―高分子材料科学と再生医学の融合拠点形成―」が発足しました。これらのプロジェクトによって、本学創成研究機構に「高分子材料科学と再生医学の融合拠点」が構築され、より本格的な研究推進が可能となりました。

主な研究成果

Ryuji Kiyama, Takayuki Nonoyama, Susumu Wada, Shingo Semba, Nobuto Kitamura, Tasuku Nakajima, Takayuki Kurokawa, Kazunori Yasuda, Shinya Tanaka, Jian Ping Gong, "Micro Patterning of Hydroxyapatite by Soft Lithography on Hydrogels for Selective Osteoconduction," Acta Biomaterialia, 81, 60-69 (2018).

Kotaro Higa, Nobuto Kitamura, Keiko Goto, Takayuki Kurokawa, Jian Ping Gong, Fuminori Kanaya, Kazunori Yasuda, “Effects of Osteochondral Defect Size on Cartilage Regeneration Using a Double-Network Hydrogel,” BMC Musculoskeletal Disorders, 18, 210 (2017).

Md. Tariful Islam Mredha, Nobuto Kitamura, Takayuki Nonoyama, Susumu Wada, Keiko Goto, Xi Zhang, Tasuku Nakajima, Takayuki Kurokawa, Yasuaki Takagi, Kazunori Yasuda, Jian Ping Gong, “Anisotropic Tough Double Network Hydrogel from Fish Collagen and its Spontaneous In Vivo Bonding to Bone,” Biomaterials, 132, 85-95 (2017).

Susumu Wada, Nobuto Kitamura, Takayuki Nonoyama, Ryuji Kiyama, Takayuki Kurokawa, Jian Ping Gong, Kazunori Yasuda, "Hydroxyapatite-coated Double Network Hydrogel Directly Bondable to the Bone: Biological and Biomechanical Evaluations of the Bonding Property in an Osteochondral Defect," Acta Biomaterialia, 44, 125-134 (2016).

Kotaro Higa, Nobuto Kitamura, Takayuki Kurokawa, Keiko Goto, Susumu Wada, Takayuki Nonoyama, Fuminori Kanaya, Kazuyuki Sugahara, Jian Ping Gong, Kazunori Yasuda, "Fundamental Biomaterial Properties of Tough Glycosaminoglycan-Containing Double Network Hydrogels Newly Developed Using the Molecular Stent Method," Acta Biomaterialia, 43, 38-49 (2016).

Takayuki Nonoyama, Susumu Wada, Ryuji Kiyama, Nobuto Kitamura, Md. Tariful Islam Mredha, Xi Zhang, Takayuki Kurokawa, Tasuku Nakajima, Yasuaki Takagi, Kazunori Yasuda, Jian Ping Gong, "Double Network Hydrogels Strongly Bondable to Bones by Spontaneous Osteogenesis Penetration," Advanced Materials, 28(31), 6740-6745 (2016).[北海道大学プレスリリース(研究発表)]

Nobuto Kitamura, Masashi Yokota, Takayuki Kurokawa, Jian Ping Gong, Kazunori Yasuda, "In Vivo Cartilage Regeneration Induced by a Double-network Hydrogel: Evaluation of a Novel Therapeutic Strategy for Femoral Articular Cartilage Defects in a Sheep Model," Journal of Biomedical Materials Research: Part A, 104(9), 2159-2165 (2016).

Keiko Goto, Taichi Kimura, Nobuto Kitamura, Shingo Semba, Yoshihiro Ohmiya, Sachiyo Aburatani, Satoko Matsukura, Masumi Tsuda, Takayuki Kurokawa, Jian Ping Gong, Shinya Tanaka, Kazunori Yasuda, "Synthetic PAMPS Gel Activates BMP/Smad Signaling Pathway in ATDC5 Cells, which Plays a Significant Role in the Gel-induced Chondrogenic Differentiation," Journal of Biomedical Materials Research: Part A, 104(3), 734-746 (2016).

Yusuke Inagaki, Nobuto Kitamura, Takayuki Kurokawa, Yasuhito Tanaka, Jian Ping Gong, Kazunori Yasuda, Harukazu Tohyama, "Effects of Culture on the PAMPS/PDMAAm Double–Network Gel on Chondrogenic Differentiation of Mouse C3H10T1/2 Cells: In Vitro Experimental Study," BMC Musculoskeletal Disorders, 15, 320 (2014).

Eijiro Maeda, Takehiro Tsutsumi, Nobuto Kitamura, Takayuki Kurokawa, Jian Ping Gong, Kazunori Yasuda, Toshiro Ohashi, "Significant Increase in the Young's Modulus of ATDC5 Cells during Chondrogenic Differentiation Induced by PAMPS/PDMAAm Double–Network Gel: Comparison with Induction by Insulin," Journal of Biomechanics, 47(13), 3408-3414 (2014).

Nobuto Kitamura, Takayuki Kurokawa, Takaaki Fukui, Jian Ping Gong, Kazunori Yasuda, "Hyaluronic Acid Enhances the Effect of the PAMPS/PDMAAm Double–Network Hydrogel on Chondrogenic Differentiation of ATDC5 Cells," BMC Musculoskeletal Disorders, 15, 222 (2014).

Takaaki Fukui, Nobuto Kitamura, Takayuki Kurokawa, Masahi Yokota, Eiji Kondo, Jian Ping Gong, Kazunori Yasuda, "Intra-articular administration of hyaluronic acid increases the volume of the hyaline cartilage regenerated in a large osteochondral defect by implantation of a double-network gel,” Journal of Materials Science: Materials in Medicine, 25(4), 1173-1182 (2014).

Yu Zhao, Tasuku Nakajima, Jing Jing Yang, Takayuki Kurokawa, Jian Liu, Jishun Lu, Shuji Mizumoto, Kazuyuki Sugahara, Nobuto Kitamura, Kazunori Yasuda, A.U. Dan Daniels, Jian Ping Gong, “Proteoglycans and Glycosaminoglycans Improve Toughness of Biocompatible Double Network Hydorgels,” Advanced Materials, 26(3), 436-442 (2014). (Web 2013).


第三回研究成果報告シンポジウム(終了)[ホームページ]

2016年6月13日(月)午後2時30分より6月15日(木)まで、北大応用科学研究棟「鈴木記念ホール」にて、特別経費プロジェクト『ソフト&ウェットマテリアルが拓くライフイノベーション-高分子材料科学と再生医学の融合拠点形成-』・創成研究機構特定プロジェクト『疑似生体組織ゲルの創製と軟骨医療への応用』の第3回研究成果報告シンポジウム及びGI-CoRE 『ソフトマターグローバルステーション』キックオフシンポジウムを開催しました。ソフトマターグローバルステーションのキックオフということで、北大山口佳三総長や文科省高等教育局国立大学法人支援課の氷見谷直紀課長などのご挨拶、東京大学教授・ImPACTプログラム・マネージャー伊藤耕三先生、ソフトマターグローバルステーション所属のアメリカやフランスの教員や北大先端生命科学研究院・医学研究科・電子科学研究所の教員による講演の後、新たな研究拠点となった北キャンパス総合研究棟2号館にて若手研究者らによるポスター発表と活発な議論や交流が行われました。



シンポジウムの様子1 シンポジウムの様子2
シンポジウムの様子3 シンポジウムの様子4

第二回研究成果報告シンポジウム(終了)[ポスター]

2015年5月15日(金)午後1時30分より、北大医学部学友会館「フラテ」にて、東京大学教授・片岡一則先生をお招きして、特別経費プロジェクト『ソフト&ウェットマテリアルが拓くライフイノベーション-高分子材料科学と再生医学の融合拠点形成-』と創成研究機構特定プロジェクト『疑似生体組織ゲルの創製と軟骨医療への応用』の研究成果報告シンポジウムを開催しました。



第一回研究成果報告シンポジウム(終了)[ポスター]

2014年6月26日(木)、北大学術交流会館にて、東京大学教授・相田卓三先生をお招きして、特別経費プロジェクトと創成研究機構特定プロジェクトの合同研究成果報告シンポジウムを開催し、「先端材料部門」と「先端医学部門」の2部門により、新進気鋭の若手研究者が中心となって成果を発表しました。また研究発表に先立ち、高分子・超分子材料研究者として世界的に著名な東京大学相田卓三先生が、優れた新規ソフトマテリアルであるアクアマテリアルに関する招待講演をされました。この発表会を通し、高分子材料科学と再生医学の研究者がお互いの研究をより深く理解することができました。両分野の相互理解・融合がさらに促進され、本学におけるソフト&ウェットマテリアルの創成とその再生・再建医学への応用が格段に加速するものと期待されます。


シンポジウムの様子1 シンポジウムの様子2
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