基盤支援・産学連携部門(旧センター)

RI実験施設

放射線を放出するRI(放射性同位元素)は、微量の物質でも検出できることから生命科学研究に広く用いられてきました。生体材料や生理活性物質などの試験管内での反応をモニターするためのトレーサー(目印)として、あるいは活性物質の物理化学的挙動を追跡する等の目的で使われ、生命科学の進歩に大きく貢献してきました。しかし近年、代替法としての化学発光法や蛍光標識法が進歩したため、当施設はその役割を終え、平成27年9月をもって廃止されました。

パネト細胞αディフェンシンによる自然免疫機構とその制御

抗菌ペプチドは、生体の遺伝子にコードされた主要な自然免疫の作用因子である。哺乳類の代表的な抗菌ペプチドであるαディフェンシンは、強く広い殺微生物スペクトラムを有し、耐性菌をつくりにくいことが知られている。われわれは、小腸陰窩の基底部にあるパネト細胞(Paneth cell)が産生分泌するαディフェンシンをはじめとする自然免疫作用因子の腸管粘膜免疫系における分子機構と機能に関する研究開発を進めている。αディフェンシンが病原菌に対する強力な殺菌作用を示す一方で、一部の常在菌は殺菌せず共生に関与することを明らかにし、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、肥満、移植片対宿主病など様々な疾患に関与する可能性を示している。自然免疫研究室では、腸内環境の制御機構を科学的に解明して食と健康の関係を理解するための研究を進めている。さらに、自然免疫、炎症、再生、吸収など腸上皮細胞の担う重要な機能を解明して難治性疾患の克服に貢献する研究開発に注力している。

整形外科学分野

整形外科基礎研究室では、運動器疾患の病態解明を目指した基礎研究を行うとともに、それらを基盤とした新規治療法の開発を行っています。

わたくしたちは、変形性関節症や骨粗鬆症、脊髄損傷を主なターゲットとして、分子生物学的研究やバイオメカニクス、薬理学、組織工学的な研究を行っています。当分野の研究の特色のひとつは“糖鎖生物学的アプローチ”を用いて、これらの疾患の病態解明や新規治療法開発を行っている点です。

主な研究プロジェクトのひとつは、臨床応用が可能な糖鎖を基盤とした軟骨再生用scaffoldの開発です。国内製薬企業と共同で高純度硬化性ゲルを開発し、大動物を用いた治療実験により細胞移植を必要としない軟骨再生を可能とし、本年1月より、北海道大学病院にて、臨床治験を本格開始致しました。

運動器疾患の病態解明やそれを基盤とした新規治療法の創出に関しては、細胞上の網羅的糖鎖構造解析や糖転移酵素や糖鎖受容体の遺伝子KOマウスを用いた研究、薬剤による糖鎖受容体の機能抑制、幹細胞などを使用した再生医療に関する研究を行っています。これまでの研究によってスフィンゴ糖脂質や高マンノース型糖鎖、シアリル糖鎖やその受容体が運動器疾患の病態に深く関与していることを世界に先駆けて報告しています。

糖鎖生物学的アプローチによる骨、軟骨、神経疾患研究は、これまで未解明であった運動器疾患の病態解明やまったく新しい治療法の開発に大きな期待が寄せられています。